カリフォルニア州グレンデールに設置された従軍慰安婦像撤去を求めて在米邦人団体が提訴したのは今年2月20日。連邦地裁中央カリフォルニア支部はこれを受理したものの5月30日現在、公判日程は決まっていない。にもかかわらず、原告である「歴史の真実を求める世界連合会」(=GAHT、代表は目良浩一 元南カリフォルニア大学教授)は既に四面楚歌の状況に陥っている。 その理由は三つある。 一つは、4月に原告代理人となった米有力法律事務所、メイヤー&ブラウン社(本社シカゴ)が突如、一方的に契約を解除したこと。慰安婦問題を巡る原告との立場の違いを理由に、これまでの弁護費用を無料にする条件で原告代理人を降りたのだ。当初、原告の依頼を二つ返事で承知したこの法律事務所に何が起こったのか。 (参考資料:「緊急声明:弁護士事務所の変更」、歴史の真実を求める世界連合会」) 二つ目は、提訴から2カ月経った4月21日、韓国系弁
例年、3月末には学生アルバイトが退職するため店舗のスタッフが減るが、今年は景気浮揚の影響もあり、それを補う採用がうまくいかなかった。一部店舗においては人手不足が原因で閉店を余儀なくされ、せっかく「すき家」の牛丼が食べたいとご足労いただいたお客様には、ご迷惑をおかけして大変申し訳なく思っている。 また、採用が思うようにいかずに一部のアルバイト諸君、クルーのみなさんの負担も増えた。こうした状況は急速に回復しつつあるが、3月末から4月にかけて、そういう店舗が発生したということについては、対策が必要であるという認識を持っている。 現状をお話すると、人手不足で閉店しているのは28店、リニューアルを目的とした閉店なども合わせると、5月14日現在、184店が閉店中だ。(人員不足の影響はすき家だけ大きいように見えると指摘されるが)すき家は全国に約2000店舗あるので、目立つということはあるだろう。100店
日経ビジネスは5月19日号の特集「さらば使い捨て経営~『正社員化』だけでは解決しない」で、人手不足の深刻化を背景に、問題が噴出する非正規雇用を取り上げた。「ブラック批判」を浴びる一部の企業にとどまらず、業種を超えた様々な企業で人材確保が困難になりつつある。本コラムでは、特集誌面には収めきれなかった企業の動きや経営者・識者のインタビューなどを紹介する。 第一回は、営業時間の短縮や休業する店舗が相次いだ牛丼大手「すき家」を取り上げる。アルバイトなど関係者の証言から勤務の実態に迫った。 「パワーアップ工事中」。4月下旬の土曜日の午後6時、東京都品川区にある総合スーパーのフードコートで、1店舗だけ閉店している飲食店があった。牛丼大手「すき家」の店舗だ。夕食時で混雑しており、同じフードコートに入居する「マクドナルド」「リンガーハット」「はなまるうどん」「築地銀だこ」には、軒並み行列ができていた。そん
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 週に5~6日、深夜0時から14時間連続で勤務 だが、仕事の負荷も高まった。アルバイトによると、仕込みにかかる時間は、牛丼の15分に対し、牛すき鍋は1時間と、4倍もかかる。鍋メニューは、各店舗で牛肉を小鍋で煮て、野菜や豆腐などの具材と混ぜ、袋に詰めて冷蔵庫に保管する。東日本の店舗で働く石川康子さん(仮名)は「本部からは20分でできると言われたが絶対に無理」と話す。 「牛すき鍋定食」は、仕込みだけでなく、鍋の下に保温するための固形燃料を置き、火を付けて提供する必要もあり、手間がかかる。小型のすき焼き鍋は、こびりついた肉などの脂を洗うのも大変なようだ。 そのしわ寄せは、当然ほかの商品の提供にも及ぶ。「牛丼が出てくるのが遅い」「会計はまだか」。牛丼店
遙から 同時期に二つのまったく両極端の節約術番組を見た。ひとつは明るい節約術。これはボンビーガールに始まり、貧乏芸人の暮らしぶりもまた、狭い・汚い・貧しい食生活(カップラーメンだけなど)、を基盤にした明るい貧乏だ。本人の明るさとは別に、見る側の驚くリアクションの落差で番組がバラエティとして成立している。 なぜ本人が明るいかというと「もし将来芸人として売れたら」という未来がある。夢を前提とした現在の貧しさはとりあえず明るい。貧乏は、若さと未来と希望で悲壮さは相殺され、見る側にも「自分も若い頃はああだった」といった既視感すら覚えさせ、貧しいほどに応援したくなるポジティブさに着地して番組は終わる。一か八かで入った芸能界で、本人が選び取った覚悟の貧しさ、という点において暗さはない。 覚悟のビンボーか、避けられなかった貧困か それに比べ、「女性の貧困」を取り上げたドキュメンタリーは、上記同様、狭い・
中国では10月1日から7日まで国慶節休暇で、俗に秋のゴールデンウィークと呼ばれる旅行シーズンを迎えた。今年の国慶節が例年と少し違うのは、このシーズン開始に合わせて「国家旅遊法(旅行法)」なるものが制定されたことだろう。 この旅行法は、旅行会社と旅行者の合法的権利や健全な旅行市場秩序を保護し、健全に旅行業を発展させようとするためのものだ。たとえばツアー会社が強引に市場より割高の土産物店に連れて行き、客に土産を買わせてバックマージンを得るといった中国で公然と行われていた不正なども明確に禁止される。 だが、興味深いのは、ツアー客のマナーの悪さ(非文明行為)を旅行法違反の反社会公徳行為とみなし、非文明行為によるトラブル、損失の賠償責任が旅行者にあることや、ツアーガイドのツアー客に対するマナー指導責任なども盛り込まれていることだ。それだけ中国人旅行者のマナーの悪さは、国内旅行においても海外旅行におい
この打ち上げで、同社は史上初の試みを成功させた。ファルコン9第1段には着陸脚が装備されており、将来の第1段再利用に向けた降下・着水実験が行われたのだ。分離後、第1段は姿勢を制御し、エンジンを再着火して噴射で速度を落としつつ、着陸脚を展開。垂直の姿勢で海面への着水を試みた。【編注:同社の垂直離着陸実験の動画は次ページに掲載】 第1段着水実験の詳細を同社は正式には公表していない。しかし、同社のイーロン・マスクCEOは、Twitterに「実験は成功、着水時に機体は垂直で、着水後8秒まで搭載コンピューターはデータを送ってきた」と書き込んだ。 この打ち上げは、スペースX社と米航空宇宙局(NASA)との契約で実施された商業打ち上げだ。通常、商業打ち上げでは、今回のような技術開発実験を実施することはない。打ち上げ成功確率が下がる可能性があると、顧客が実験を忌避するからだ。 が、スペースXは、ファルコン9
松浦 晋也 ノンフィクション作家 科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。 この著者の記事を見る
スペースXは、非常に秘密が多い企業で、ファルコン9の再利用化についても不明点が多い。その一つに「重い着陸脚を装着すれば、ファルコン9の打ち上げ能力が低下するのではないか」という疑問があったが、今年4月に同社がルクセンブルグの衛星通信会社SESの通信衛星「SES-9」「同10」の打ち上げ契約を獲得した際に、“からくり”が明らかになった。 ファルコン9v1.1の公称打ち上げ能力は、静止トランスファー軌道に4.85トンだが、SES-9/10は共に5.3トンもある大型衛星だったのである。これに対してスペースX社は、ファルコン9v1.1には、同社が実験のために使う余剰打ち上げ能力があり、SES-9/10も打ち上げ可能であると説明した。つまり、ファルコン9v1.1は、最初から再回収実験のための着陸脚などを装備する前提で開発されており、そのために打ち上げ能力は低い値を公表していたのだった。 するりと認め
新しいエネルギー基本計画が閣議決定された後に、一部のブログが盛り上がりました。その内容の多くは、今回のエネルギー基本計画を大きく批判するものです。もちろん、批判するのは必要ですし、そういう批判が積み上がってこそ、物事が前に進む側面があることは事実でしょう。しかしながら、どうも批判が単調な感じがします。 本稿は少し読みにくいので、あらかじめ結論を先取りしておきましょう。過去10年の資料に目を通してみると、(1)民主党政権と自民党政権の間で原発の方針に大差はないこと(むしろ民主党時代が原発推進の絶頂期だったこと)、(2)最新のエネルギー基本計画も「2030年代までに原発ゼロ」という方針から大きく逸脱しているように読めないこと、(3)だからこそ、脱原発・原発推進が決まっていくのはまさにこれからの議論を待っていること、が見えてきます。本稿では、2003年からの文書の変遷を手がかりに、上記の仮説を検
小保方晴子さんがSTAP細胞論文問題で記者会見を開いた日の午前中、さる新聞社の社会部を名乗る記者さんから電話がかかってきた。午後からの記者会見を視聴したうえで、感想のコメントを提供してほしいという取材依頼だった。 しばらく考えて、お断りした。 先方には、コメント取材に応じられない理由として 「この件については、継続的にウォッチングしていないので、会見の中で出てくる言葉に関して、適切に判断できる自信がない」 という主旨の話をしたのだが、本心はもう少し複雑だった。以下、その「理由」について説明してみる。 この種の出来事についてコメントを求められた際の正しい対応は、多くの場合、思ったことをそのまま語ることに尽きる。多少ヌルくても、観察が届いていなくても、長い目で見て、正直にまさる戦略は無いからだ。 大向こうの受けを狙って、うがった意見を言おうとしたり、珍しいものの見方を誇示しようとする態度は、と
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