多くの人がダーウィンが残した名言として信じているこの言説は、実は、ダーウィンの言葉ではなく、彼が唱えた「進化論」に照らしてみても誤ったものだった。 ビジネスや政治の世界で好んで使われるフレーズのルーツをたどってみると、意外な事実がわかってきた。 講談社ブルーバックスのロングセラー『進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語』の著者である千葉聡教授(東北大学大学院生命科学研究科)の新作『ダーウィンの呪い』が話題沸騰中だ。今回の新刊を記念して、誤解と偏見を重ねながら面妖に「進化してきた」アナロジーに潜む謎と病理を解き明かす記事をお届けしよう。 あの名言は、ダーウィンの言葉ではなかった 進化論を唱えたダーウィンは、「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」という考えを示したと言われています。 これは19年前、