聖書には数多くの翻訳があってどこから手を付けて良いかわからないという読者にうってつけの翻訳がある。それはフランシスコ会聖書研究所訳注『原文校訂による口語訳聖書』である。本書の特徴は、まず原文からの翻訳であること、それから現在の研究の成果を反映させた充実した解説、そして引照だけでなく語義や校訂における訳語の選択を反映した訳注にある。 まず原文からの翻訳とは基本的に、ヘブライ語聖書、七十人訳による第二聖典、それからギリシア語新約聖書の最新の研究に基づく翻訳であることを意味する。翻訳の元となる本によって大きく意味が異なり、カトリックでは長くウルガタ訳が重宝されており、ウルガタ訳の邦訳としてはバルバロ訳が知られている。本書はそれぞれの原語の本文と広く認められているテクストに基づいて、テクストの読みに異同がある際は訳注に落とし込んだ形での翻訳が試みられている。 本書の大きな特徴に、充実した解説が各文