「現成公案」巻の概要と現代語訳と原文 『正法眼蔵』の数多の巻のなかでも、この現成公案の巻は最重要の部類に含まれるものと考えて相違ないと考える。 75巻本の首巻となっているのも、もちろん偶然ではないはず。 現成公案とは、ずばり「悟りの実現」を意味する言葉であり、この巻で著述されている内容は、仏法の根幹である「悟り」をテーマとしている。 「現成」は「現成正覚」の略で、より本意に近い訳を当てるとすれば、悟りとは目の前に実現されている、というほどの意味となるだろう。 実現するものを示す「正覚」の部分が省略されているわけだが、そんなことはあえて言わなくてもわかるということなのだと思われる。 もちろん正覚とは「悟り」の意だ。 一方の「公案」は、原意を辿れば中国における官の公文書に行き着く。 なぜいきなり公文書が登場するのかであるが、たとえば、年間にいくらかの米を納めなければならない、というような公文書