王舟と『Big fish』の話がしたいと思った。それは彼の最新アルバムの話ってことなんだけど、他にもいくつか思い当たるフシがあった。たとえば、ティム・バートンが2003年に撮った映画『ビッグ・フィッシュ』。その題名の語源でもある「Big fish」は、英語で「ホラ吹き」みたいな意味だと聞く。そういえば、王舟の音楽自体、現実と空想の境目を曖昧にしてにじませる音楽的なホラみたいなところがある気がずっとしてた。 せっかくのインタビューだから「どういうふうにこのアルバムを作りましたか?」って話をもちろんしたわけだけど、インタビューの途中で「一番アルバムに入れたかったけど結局入らなかった曲」の存在がぼんやりと浮かび上がってきたあたりから変なギアが入ったような気がしてきた。その曲を知らないぼくには、それがまるで王舟の語る「大きな魚」のようにも思えたのだ。 写真:松永良平 ===============