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ブックマーク / realsound.jp (603)

  • 細田守と新海誠は、“国民的作家”として対照的な方向へ 2010年代のアニメ映画を振り返る評論家座談会【前編】

    細田守と新海誠は、“国民的作家”として対照的な方向へ 2010年代のアニメ映画を振り返る評論家座談会【前編】 年が明け2020年に突入。同時に2010年代という時代も終わりを迎えた。リアルサウンド映画部では、この10年間のアニメーション映画を振り返るために、レギュラー執筆陣より、アニメ評論家の藤津亮太氏、映画ライターの杉穂高氏、批評家・跡見学園女子大学文学部専任講師の渡邉大輔氏を迎えて、座談会を開催。 前編では、細田守や新海誠など、今や国民的作家となったアニメーション監督に注目。なお、後日公開予定の後編では、「ポスト宮崎駿」をめぐる議論の変容や女性作家の躍進、SNSとアニメーションの関係性について語り合っている。(編集部) 最初の地殻変動は2012年 ――2014年に『アナと雪の女王』と2016年に『君の名は。』と、2010年代に入ってから、興行収入が200億を超える作品が出てくるように

    細田守と新海誠は、“国民的作家”として対照的な方向へ 2010年代のアニメ映画を振り返る評論家座談会【前編】
  • 純文学雑誌は転換期を迎えているーー『文藝』リニューアル成功が浮き彫りにした重い課題

    季刊『文藝』(河出書房新社)が、2019年夏季号からリニューアルした。「韓国フェミニズム・日」特集を組んだ同秋季号が、同誌では17年ぶりの重版、創刊号以来86年ぶりの3刷となりニュースになった。芥川賞はお祭り騒ぎになるものの、選考対象となる作品が掲載される純文学雑誌が目立って売れることはあまりないからだ。『文藝』はリニューアル後にこれまで3号を発刊していずれも好調であり、他の純文学雑誌にも刺激を与えている。 村上春樹のように文学好きだけでなく世間的人気もある作家や、社会学者兼テレビのコメンテーターの古市憲寿などすでに異分野で有名な書き手の作品を読める号が話題になる例はある。『文藝』も2019年冬季号で文芸誌では初登場の北野武(ビートたけし)の中編を掲載した。月刊誌の場合、12月発売の新年号は毎年力が入っているが、『文學界』2020年1月号(文藝春秋)は、芸人兼作家の又吉直樹と歌手の宇多

    純文学雑誌は転換期を迎えているーー『文藝』リニューアル成功が浮き彫りにした重い課題
  • 細野晴臣が語る、“これからの音楽”への視線「刺激的なだけで深さがないものは飽きちゃう」

    2019年にデビュー50周年を迎えた細野晴臣。イベント『祝!細野晴臣 音楽活動50周年×恵比寿ガーデンプレイス25周年『細野さん みんな集まりました!』』(10月11、13、14、15日/東京・恵比寿ザ・ガーデンホール)、記念展『細野観光1969-2019』(六木ヒルズ展望台 東京シティビュー・スカイギャラリー)、ドキュメンタリー映画『NO SMOKING』の公開、そして東京国際フォーラム ホールAで行われた『細野晴臣 50周年記念特別公演』『イエローマジックショー3』など、記念碑的な活動が続いた昨年を経て、細野の関心はどこに向かっているのだろうか? リアルサウンドでは、50周年関連のイベントを終えたばかりの細野にインタビュー。現在のモード、興味を引かれている音楽映画、そして、今後の活動ビジョンなどについてじっくりと語ってもらった。(森朋之) 「いろんな人が聴いてくれてるんだな」と痛感

    細野晴臣が語る、“これからの音楽”への視線「刺激的なだけで深さがないものは飽きちゃう」
  • KREVAはなぜ音楽機材について積極的に発信する? 「音楽ができた瞬間の喜びを分け与えたい」

    音楽家の経歴やターニングポイントなどを使用機材や制作した楽曲とともに振り返る連載「音楽機材とテクノロジー」。第五回はKREVAに登場してもらった。 TV出演の際に音楽機材の奥深さを熱く語ったり、自身のライブ『完全1人ツアー』では、機材を使った音作りの解説を合間に挟んだりと、機材とそれによって作られる楽曲の関連性を積極的に伝えてきた彼へのインタビュー。今回は、機材についての発信を行うようになった理由や、曲作りの方法、機材を使うにあたって大事にしていることなどについて、じっくりと語ってもらった。(編集部) 「偏った愛を真剣に語ってる人の話って面白い」 ――KREVAさんはいつ頃からこのプライベートスタジオの環境で制作をしているんでしょう? KREVA:2000年頃、KICK THE CAN CREWのときからここで録音しているので、20年近くになりますね。ヴォーカルブースの位置を変えたり、壁を

    KREVAはなぜ音楽機材について積極的に発信する? 「音楽ができた瞬間の喜びを分け与えたい」
  • 大友良英が語る、『いだてん』音楽制作と劇伴作家としてのスタンス「時代と空気感とストーリーを体に入れながら過ごした2年半」

    大友良英が語る、『いだてん』音楽制作と劇伴作家としてのスタンス「時代と空気感とストーリーを体に入れながら過ごした2年半」 1年間続いたNHK大河ドラマ『いだてん ~東京オリムピック噺~』も大詰め。この記事が公開された数時間後には最終回(第47回)を迎える。音楽を担当した大友良英にとっても、2年半も付き合ってきた大仕事の終わりである。 『いだてん』オリジナルサウンドトラックの第3弾『完結編』も先ごろリリースされた。メインテーマの「完結編リミックスVer」に始まり、7分以上にも及ぶロングバージョン「1964/いだてんメインテーマロングVer」で終わる内容は、完結編に相応しく、CDだけ聴いても壮大なドラマが脳裏に浮かんでくるような充実ぶりだ。 この取材が行われたのは第45回「火の鳥」の放映直後。大友自身も、まだ最終回の映像を(音楽がついた状態では)まだ見ていないという段階だった。ドラマの結末も含

    大友良英が語る、『いだてん』音楽制作と劇伴作家としてのスタンス「時代と空気感とストーリーを体に入れながら過ごした2年半」
  • 大谷能生×吉田雅史が語る、近年の音楽書の傾向とその可能性 「ファクト重視で念入りに検証した批評が増えている」

    大谷能生×吉田雅史が語る、近年の音楽書の傾向とその可能性 「ファクト重視で念入りに検証した批評が増えている」 音楽に関する書籍が近年、ますますバラエティに富んでいる。2019年に発売されたものだけでも、人文書院からはロックミュージックの歴史を壮大なサーガとして描いた西崎憲『全ロック史』、DU BOOKSからは新たなヒップホップ史観を提示するソーレン・ベイカー『ギャングスター・ラップの歴史 スクーリー・Dからケンドリック・ラマーまで』、リットーミュージックからはプログレッシブ・ロックの歌詞に着目した円堂都司昭『意味も知らずにプログレを語るなかれ』など、多様なテーマ/切り口の音楽書が並ぶ。これらの書籍を並べて俯瞰した時、近年の音楽を巡る言説にはどのような傾向や変化が見られるのか。音楽家であり批評家でもある大谷能生氏と吉田雅史氏が、近年の音楽書について濃密な対談を繰り広げた。なお、最終ページには

    大谷能生×吉田雅史が語る、近年の音楽書の傾向とその可能性 「ファクト重視で念入りに検証した批評が増えている」
  • 舐達麻は、なぜヘッズ以外からも注目される? ラップスタイル&サウンド面から魅力を考察

    〈バール買いに行かせた今藤〉この異質な切り出し方をする舐達麻の「FLOATIN'」は2019年前半においてミーム化していたと言えよう。リリックで見え隠れする彼らの過去やライフスタイルがインタビュー等で明らかになり、裏付けが取れた”リアルさ”は舐達麻ブランドを確立した。硬派な魅力を持つキャラクターが広く知れ渡った『ニート東京』出演も、人気の強い後押しになったはずだ。「今最もリアルなラッパー」「MSCの再来」そう絶賛を集める彼らには、ハード面ばかりがフォーカスされる。一方、筆者はローファイヒップホップがヒットする近年のリスナーの耳にも、舐達麻のサウンドがハマったと推測する。 特に最新作『GODBREATH BUDDHACESS』の10曲中7曲を提供しているGreen Assassin Dollar(以下、GAD)が影の立役者だ。彼のサウンドは過去作を含め、ミステリアスな哀愁あるサンプリングに、

    舐達麻は、なぜヘッズ以外からも注目される? ラップスタイル&サウンド面から魅力を考察
  • 小沢健二の「個」は普遍に至るか? imdkmの『So kakkoii 宇宙』評

    小沢健二『So kakkoii 宇宙』 小沢健二による13年ぶりのアルバム『So kakkoii 宇宙』を今年きっての話題作と呼ぶことに異論はあるまい。その評価についてはさておいて、とりあえず作品に耳を傾けてみる。再生してまず耳を捉えるのは、リード曲「彗星」の、ホーンセクションやストリングスを従えた多幸的でゴージャスなアレンジだ。アレンジのバラエティも含めて、多くの人が『LIFE』を引き合いにだしたくなる気持ちはわかる。 面白いのは、16ビートの軽快なグルーヴを軸にしながらも、歌にしたがって変則的に伸び縮みする小節。ポップミュージックの常道として、4の倍数に相当する小節数で展開する、という暗黙のルールがある。それをあえて逸脱することによってリスナーの注意を惹く工夫は珍しいわけではなく、オザケンだってよくやってきた。例はいろいろあるけれど、わかりやすいものでは、「強い気持ち・強い愛」はAメロ

    小沢健二の「個」は普遍に至るか? imdkmの『So kakkoii 宇宙』評
  • 前人未到の大河ドラマ『いだてん』はいかにして作られたのか 取材担当者が明かす、完成までの過程

    いよいよ最終局面に入った大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)。オリンピックに関わった日人の姿を描いた作は、明治・大正・昭和という近代日を舞台にした歴史群像劇だ。劇中には実在した人々が登場し、一見荒唐無稽に見えながらも、ほぼ史実どおりに展開していくのだが、その背後では、気が遠くなるような膨大な量の取材が行われていた。 今回、リアルサウンド映画部では『いだてん』の「取材」を担当した渡辺直樹に、関係者遺族への許可取りも含めた取材現場の内幕について話を訊いた。渡辺が担った「取材」とは、宮藤官九郎の脚作り、その前段階の企画制作のための膨大な資料集め、および史実関係の事実確認など。前人未到の挑戦となったオリンピック大河はいかにして作られたのか?(成馬零一) 誰を主人公にするかも決まっていなかった ―― 渡辺さんが『いだてん』でもチーフ演出を務める井上剛さんの作品

    前人未到の大河ドラマ『いだてん』はいかにして作られたのか 取材担当者が明かす、完成までの過程
  • 橋本徹が語る、<T.K. Records>を聴き直す理由 Free Soulコンピが繋げる70年代と今

    徹が語る、<T.K. Records>を聴き直す理由 Free Soulコンピが繋げる70年代と今 シリーズ累計セールス120万枚以上の大人気コンピレイション『フリー・ソウル』25周年を記念して、『フリー・ソウル』初となるリトル・ビーヴァー、ティミー・トーマス、ミルトン&ベティ・ライト、ジョージ&グウェン・マクレーなどの“マイアミ・サウンド”名門レーベル<T.K.Records>をグルーヴィー&メロウにコンパイルした『Free Soul T.K.』が、11月6日に2枚組で発売された。 8月には元号が変わるのを機に平成元年(1989年)から各年を象徴する名作が全31曲収録された『Heisei Free Soul』がリリースされ、当サイトではそのリリースを記念したインタビューを橋徹氏に行った際「CDの時代とクラブミュージックの隆盛の始まり」について語ってもらっている。今回のインタビューで

    橋本徹が語る、<T.K. Records>を聴き直す理由 Free Soulコンピが繋げる70年代と今
  • 君島大空、諭吉佳作/men、長谷川白紙…崎山蒼志『並む踊り』優れた“個”が集まる場としての面白さ

    崎山蒼志の2ndアルバム『並む踊り』が日10月30日にリリースされた。崎山が単独名義で他者と共作するのは今回が初めてで、そのラインナップも近年注目されている“シンガーソングライター”の中から特に強力な面子を集めたものになっている。これからの音楽シーンを担う才能が一堂に会する場としても記念碑的な一枚になった作に関連して、ここでは参加アーティスト各人の音楽性とその共通点について考えていきたい。 崎山蒼志『並む踊り』 まず、作のリーダーである崎山蒼志。昨年末に発表した1stアルバム『いつかみた国』は300曲を越える膨大なレパートリーから厳選された7曲からなる作品で、フォークロックにエモ~ポストロックや近年の多展開型J-POPを融合させたような作編曲、驚異的に味わい深い歌詞、唯一無二の演奏表現力など、若さに技術音楽的豊かさが間に合わなければ生み出せない類の傑作となった。収録曲は打ち込み1曲

    君島大空、諭吉佳作/men、長谷川白紙…崎山蒼志『並む踊り』優れた“個”が集まる場としての面白さ
  • ヒゲダン、長谷川白紙、花澤香菜……ロックやポップスでも発揮されるillicit tsuboiの手腕

    Official髭男dism『Traveler』(通常盤) Official髭男dism(ヒゲダン)の『Traveler』に収録された新曲、「Rowan」。エレクトリックピアノやウッドベースが紡ぐスローでメローな一曲だ。楽曲のつくりやそれぞれのパートが奏でるフレーズからしてみれば、いかにもスムースに仕上がってしまいそうであるにも関わらず、実際にはイントロからアウトロまで一筋縄ではいかないワイルドさを持っている。 たとえばドラムのビートはずっとフランジャー(サウンドの質感を変える、位相系とくくられるエフェクトの一種)がかかって金物がしゅわしゅわとしているし、ウッドベースの低音もふくよかというよりはごつごつ、ごりごりとしている。また、イヤホンなどで聴くとよくわかるが、きらびやかなキーボードの音色も左右の定位が激しく揺れ動く。ほかにもダブリングされたボーカルの録り音、挿入されるソウルフルなボーカ

    ヒゲダン、長谷川白紙、花澤香菜……ロックやポップスでも発揮されるillicit tsuboiの手腕
  • D.Oが語る、ラッパーの生き様とショービズの裏側ーーリル・ウェインの“超問題作”をどう見るか?

    アメリカ・ニューオーリンズを拠点とするキャッシュ・マネー・レコードの看板ラッパー、リル・ウェインの素顔とその舞台裏に迫るドキュメンタリー『リル・ウェイン ザ・カーター』が、6月2日にリリースされた。アメリカ国内だけで累計売上380万枚を売り上げ、第51回グラミー賞で最優秀ラップアルバム賞ほか4部門を受賞したスタジオアルバム『カーターIII』(2008年)の発売前後にスポットを当て、密着取材した作は、無許可で楽曲を使用してスキャンダラスな映像に使われたとして、リル・ウェイン人が訴訟を起こすも、制作者のクインシー・ジョーンズ3世が正規の手続きを踏んでいると反訴し、リル・ウェインに敗訴が下された“問題作”だ。サンダンス映画祭でプレミア上映され、ニューヨーク・タイムズやハフィントン・ポストといったメディアで高評価を得るも、生々しい描写のためファンからは賛否両論が巻き起こりそうな作を、現役のラ

    D.Oが語る、ラッパーの生き様とショービズの裏側ーーリル・ウェインの“超問題作”をどう見るか?
  • tofubeats × imdkm『リズムから考えるJ-POP史』対談 「イノベーションの瞬間を記録している」

    ライター/批評家のimdkmが初の書籍『リズムから考えるJ-POP史』を刊行したことを受けて、9月25日にユーロライブにて盟友・tofubeatsをゲストに迎えた対談イベントが開催された。『リズムから考えるJ-POP史』執筆のきっかけから小室哲哉がJ-POPに与えた影響、宇多田ヒカルのリズムの解像度、そしてimdkmの今後の執筆の予定についてまで話は及んだ。(編集部) 『リズムから考えるJ-POP史』の出版について imdkm imdkm:元々「リアルサウンド」や自分のブログに、ポップスやヒップホップ、EDMなどのリズム構造や構成の分析、J-POPの歌の譜割りについての記事を書いていたんですよ。リズムについては、自分の得意技の1つにしようかなとは思っていましたね。そこにの依頼もあったし、2018~2019年に出たJ-POPの新譜で、リズムのアプローチが面白い作品が多くて。このはそういう

    tofubeats × imdkm『リズムから考えるJ-POP史』対談 「イノベーションの瞬間を記録している」
  • DU BOOKS編集長に訊く、”濃すぎる”音楽書を作り続ける理由

    音楽好きにはお馴染みのレコード店・ディスクユニオンには、出版部門のDU BOOKSがある。80年代のアイドル歌謡から洋楽的なエッセンスに溢れる隠れた名曲を紹介する『ラグジュアリー歌謡』、日音楽シーンに足跡を残してきた編曲家たちのエピソードをまとめた『ニッポンの編曲家』、カニエ・ウェストのアルバム『マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー』一枚のみを取り上げて論じた『カニエ・ウェスト論』など、音楽通をも唸らすマニアックな書籍を次々と刊行してきたDU BOOKSは、一体どんな方針で出版事業を行っているのか。DU BOOKS編集長の稲葉将樹氏に、レコード店が出版事業に進出した背景から、その文化的意義、音楽書を巡る状況についてまで語ってもらった。(編集部) 「フィジカルなモノの魅力は簡単には失われない」 ーーディスクユニオンが出版部門となるDU BOOKSを立ち上げた理由は?

    DU BOOKS編集長に訊く、”濃すぎる”音楽書を作り続ける理由
  • 『エイス・グレード』はSNS時代の『ライ麦畑でつかまえて』? 作品に宿る普遍的なメッセージとは

    作品の送り手はピッチャーであり、受け手はバッターであるという比喩がある。社会に向けて作品を送り出す作家は球種を選び、コースを狙い澄ます。ストレートかカーブか。インハイで観客の胸元をつくのか、批評家の手の届かないアウトローに決めに行くのか。アメリカ映画界がメジャーリーグだとしたら、あらゆる映画監督がピッチャーとして観客の意表をつき、批評家のバットに空を切らせ、ストライクアウトを取るためにしのぎを削っている。 撮影当時28歳のボー・バーナムはこの『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』が初の監督作品になる。まったくのルーキー、新人投手がアメリカ映画という世界最大のメジャーリーグのマウンドに上がったわけだ。アメリカの観客は新人にやさしくはない。最大の映画批評サイト「ロッテントマト」は、つまらない作品に投げつける腐ったトマトという意味である。少しでも甘く入ればたちまち批評家のバットがうなり

    『エイス・グレード』はSNS時代の『ライ麦畑でつかまえて』? 作品に宿る普遍的なメッセージとは
    txmx5
    txmx5 2019/10/03
    “世界に見向きもされずに途方にくれている13歳の女の子がキャッチできないような変化球を投げてしまうことの方を、たぶん彼はずっと恐れたのだ。”
  • 『いだてん』制作の裏側は“もうひとつのオリンピック”だったーーチーフ演出・井上剛の挑戦

    明治から昭和にかけてオリンピックに関わった日人の姿を描いた大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)は、そのスケールの大きさや斬新な映像表現において、テレビドラマ史上かつてない前人未到の大プロジェクトだ。 この度、リアルサウンド映画部は『いだてん』チーフ演出の井上剛にインタビュー。ドラマ史上かつてないこの巨大プロジェクトは、一体どのようにして生まれ、進められてきたのか? 膨大な取材のもとで紡ぎ出されたかつてない物語と、スポーツを見せるための斬新な映像表現を次々と産み出してきた『いだてん』制作の背後には、もう一つのオリンピックとでも言うような、果敢な挑戦の連続があった。(成馬零一) 緻密な取材によって生まれた物語 ――もうそろそろ、終わりが見えたという感じでしょうか? 井上剛(以下、井上):いえいえ。スケジュール的に終わりが見えているはずなんですけれど、仕掛けが多

    『いだてん』制作の裏側は“もうひとつのオリンピック”だったーーチーフ演出・井上剛の挑戦
  • 大根仁が大河ドラマにもたらしたものとは? 『いだてん』「前畑がんばれ」の裏側を解説

    オリンピックに関わった様々な日人の姿を描いた大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)。第36回「前畑がんばれ」は1936年のベルリン五輪の200メートル平泳ぎで金メダルを獲得した前畑秀子(上白石萌歌)の奮闘を描いた物語だ。 ラジオ実況を担当したNHKの河西三省(トータス松)が「前畑がんばれ! 前畑がんばれ!」と繰り返し絶叫した逸話が今でも語り草となっているベルリン五輪だが、同時にヒトラーとナチスのプロパガンダに利用されたオリンピックとしても知られており、第二次世界大戦へと世界が向かっていく不穏な気配が強く漂う仕上がりとなった。 この度、リアルサウンド映画部では、演出を担当した大根仁と制作統括の訓覇圭に話を伺った。 女性陸上選手・人見絹枝の苦悩と活躍を描き『いだてん』屈指の傑作回となった第26回「明日なき暴走」を手掛けた大根が、同じ女性アスリートの前畑秀子をフ

    大根仁が大河ドラマにもたらしたものとは? 『いだてん』「前畑がんばれ」の裏側を解説
  • 『アス』は地球最大の革命についての映画だ ジョーダン・ピール監督から観客への“死刑宣告”

    『ブラックパンサー』(2018)が生まれたすぐ後に『アス』のような新種の映画が生まれてくるのは、現代映画歴史的必然だといえる。『ブラックパンサー』では世界中のアフリカ系の人々が、もっぱら白人の文化だったスーパーヒーローの蜜の味を遅まきながらシェアする。これは歴史的段階として必要なものだとはいえ、世界は意外なほど変わっていないということだ。たとえば1960年代、キング牧師の時代に『ブラックパンサー』のアメコミが映画化されていたら、世界はどれほど進取の精神に富んだ現代史をたどることができただろう。しかし現実の進歩というものは、より牛歩だ。時には現在の日のように牛歩はおろか、後ろに戻りさえする。その牛歩であるはずの現実にとって、今回の『アス』はいささか性急ではある。あたかもこの映画じたいが現実に対する復讐であるかのごとく性急だ。『ビール・ストリートの恋人たち』(2018)の黒人映画作家バリー

    『アス』は地球最大の革命についての映画だ ジョーダン・ピール監督から観客への“死刑宣告”
  • 世界へ生き急ぐラッパーTohjiはどこまで高く飛び続けるのか 1stミックステープ『angel』レビュー

    Tohji『angel 』 天使の羽根のタトゥーが背中に刻まれた、弱冠22歳のラッパーTohji。既存のラッパーとは一線を画すリリックや活動によって、同世代の心を鷲掴みする存在ヘと1年ほどで急成長した。 もともと彼はYouTubeやSoundcloudで作品を発表し続け、国内のエモラップシーンの中心人物的ラッパー、釈迦坊主のパーティ『TOKIO SHAMAN』への出演によって現場を沸かすようになる。 まず、フッド(地元)ではなく、ネットから表現する活動が型破りだ。地元のクラブでライブを重ねてメジャーレーベルにフックアップされるという既存のラップゲームの成功方式ではなく、Z世代ならではのインターネットが普及しきった生活環境によって、YouTubeやSoundcloudを通して直接世界へと訴えかけている。彼のひとつ上の世代となる現在アラサーとなったミレニアル世代は、ネットレーベルを立ち上げるな

    世界へ生き急ぐラッパーTohjiはどこまで高く飛び続けるのか 1stミックステープ『angel』レビュー