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ブックマーク / ikeuchisatoshi.com (13)

  • メディアと政治の関係と、それを支えていたムラ社会の崩壊はどこまで及ぶか | 中東・イスラーム学の風姿花伝

    これは重要なコラム。 三浦瑠璃「メディア「ムラ」は民主的に統制されるべきか?―高市総務相の放送法発言問題」『山日記』ブログ、2016年2月16日 浅薄な党派性や、学者業界のやっかみ、色々なゲスの勘ぐりとかは別にして、自分の拠って立つ根拠を問い直すのに有用な論説です。 メディアへの政治の介入がメディア産業大手の媒体で盛んに議論されるけれども、どこかピンとこない。 言論が不自由になっているというが、不自由になったとされる事例の大部分は、メディア産業の内部で勝手に自粛し、勝手に忖度して不自由にしているだけだ。確かに政治家の圧力はあるだろう。しかしなぜそれにメディアが脆弱になったのか? ここで三浦さんはメディア産業のムラ社会としての崩壊あるいは弱体化を真の理由としています。 私がもっと大雑把に単刀直入に言ってしまうと、今の政治家が昔よりメディアに圧力をかけるようになったというよりは、今のメディア

    メディアと政治の関係と、それを支えていたムラ社会の崩壊はどこまで及ぶか | 中東・イスラーム学の風姿花伝
  • イスラーム法学の政治・軍事に関する規定の入門書(1) | 中東・イスラーム学の風姿花伝

    「イスラーム国」がジハードを掲げて異教徒を征服したり、奴隷化したり、殺害したり、世界各地で不信仰者を制圧したりする際に、明示的にイスラーム法的根拠を掲げる。イスラーム法は、イスラーム世界が世界のかなりの部分で支配者側の宗教であり、政治・軍事的に優位で、異教徒を権利の制限の下で従えていた時代に定式化されたものなので、現代の国際秩序の中で「復興」しようとすると、多大な摩擦と混乱、そして戦乱と流血を伴うことにならざるをえない。 イスラーム法はコーランとハディースを典拠に導き出した規範だが、見よう見まねでコーランの断片を読んでみてもイスラーム法の正統な導き方は学べない。1400年の歴史の中で、歴代のイスラーム法学者が議論を重ねて到達したコンセンサスがイスラーム法学の有力解釈であって、それを素人がにわか勉強で覆すのは不可能であると謙虚に思い知った方がいい。 ジハード主義者が掲げる、政治と軍事に関する

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  • 【掲載情報】『週刊ダイヤモンド』の特集「『読書』を極める!」にインタビューが | 中東・イスラーム学の風姿花伝

    『週刊ダイヤモンド』にインタビューが掲載されました。 週刊ダイヤモンド 2015年 10/17 号 [雑誌] 「池内恵 全ての文献を網羅して”知の体系”に近づく」『週刊ダイヤモンド』2015年10月17日号(10月10日発売)、43頁 特集「『読書』を極める!」の中に1頁ひっそりと掲載されています。 インタビューを受けてから私の校閲が入るのかと思ったら入らなかったので、私が責任を負った文章ではありません。かなり明確にニュアンスを伝えたにもかかわらず、なおも通俗的な書き方になって異なる印象を与えているところがいくつか見られました。 冒頭に、「読書について、広く一般の読者に向けた話をする際には、いつもちゅうちょすることがあります」と書き始めてくれたのは正解で、「あなたのの読み方を紹介することで読書案内としたい」という依頼を受けた時にはまずこのことから始めます。私は職業としてを読んで書いてお

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  • 【地図】地中海の難民・移民の流れ | 中東・イスラーム学の風姿花伝

    シリア難民の西欧(特にドイツ)への大量流入が話題になっているが、問題自体は2011年の「アラブの春」で各国の政権が揺れたり内戦が生じたりしてすぐに発生しており、2013年頃から激化していた。 そしてこれはシリアから難民が発生しているというだけの問題ではなく、アフガニスタンやアフリカ諸国からの難民・移民が地中海南岸のアラブ諸国に到達して、そこから西欧への渡航を目指すというより大きな問題の一部です。 昨年から今年の初めまでは、むしろサブサハラ・アフリカ諸国や東アフリカからの移民が、モロッコのスペイン領飛び地のセウタとメリリャに侵入しようとする問題に焦点が当たっていた。しかしこれについてはモロッコと西欧諸国の両方の協力による取り締まり・対策強化で一定の沈静化が見られた。しかしこれはモグラ叩きの一部で、今年に入るとリビア内戦の混乱の隙をついて密航業者がリビアに多く現れ、リビアからマルタやイタリアや

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  • 「右派から距離をおく日本政府」の必死の情報戦 | 中東・イスラーム学の風姿花伝

    印象に残った記事。 “Japan distances itself from right-wing statements” Washingotn Post(AP), February 24. 「日は右派の発言から距離を置く」 ワシントンポストがAP通信配信の記事を掲載したもの。画面には岸田外務大臣が両手で口と鼻を覆った、「苦悩」するかのような表情が大写しになる。 “Japan’s foreign minister is trying to distance his government from recent right-wing comments on World War II, calling them “regrettable” and saying they don’t represent the government’s views.” 外務省がホームページに「仮訳」を出してい

    「右派から距離をおく日本政府」の必死の情報戦 | 中東・イスラーム学の風姿花伝
  • 現在の歴史認識問題について | 中東・イスラーム学の風姿花伝

    現在の東アジアの国際政治の最大の課題は、すでに活力を失った日をどう縛るかではなく、活力がありすぎる中国をどう縛るか(「縛る」という表現がよくなければ、「の首に鈴をつける」)というものである。この基礎の基礎が、日の議論ではしばしば忘れられていないだろうか。 かつて「日を縛る」ことが東アジアの平和になにがしか役立っていた時代があった。といってもその間に東アジアに地域紛争は起きていたが。その時代を生きてきて、「どう日を縛るか」を考えて発言して、それによって自我を形作り人生を築いてきた人たちが、現在高齢化し、新たな世界状況を見る意欲や能力を失っている。歳をとれば無理もないことである。かつて高齢者が希少だった頃は、むやみに新しいことを知っている必要はなかった。昔の知恵を伝えてくれるだけでよかった。 「自分たちが信じてきたもの、当然と思っていたもの、支えにしてきたものが、大きく変わってしまっ

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  • 中東問題としてのギリシア危機 | 中東・イスラーム学の風姿花伝

    今話題のギリシア債務危機。「借金払わないなら出て行け」と言うドイツの世論とそれに支えられたメルケル政権、言を左右し前言を覆し、挙げ句の果てに突如、交渉提案を拒否するよう訴えて国民投票に打って出たギリシアのチプラス政権、それに応えて圧倒的多数で交渉提案を否決してしまう国民。確かに面白い対比です。ユーロ離脱の決定的瞬間を見たい、といった野次馬根性もあって、国際メディアも、中東の厄介なニュースを暫し離れてギリシアに注目しています。 ギリシア問題は、一面で「中東問題」であるとも言えます。もちろん狭い意味での現在の中東問題ではありませんが、根幹では、オスマン帝国崩壊後に近代国際秩序に十分に統合されていない地中海東岸地域に共通した問題として、中東問題と地続きであると言えます。 私はギリシアは専門外なので、深いところはわからないのだが、目に見える表層を、特に建築を通じて、素人ながら調べてみたことがある。

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  • 井上達夫『リベラルのことは嫌いでも・・・』を読んでしまった | 中東・イスラーム学の風姿花伝

    駒場の東大の生協で発売されたばかりのこれを買ってきた。 『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください--井上達夫の法哲学入門』(毎日新聞出版) 「タイトルがね〜」とくさしながら読み始めたが中身がすごく真摯でかつ単刀直入なので引き込まれてしまって、タイトルなど気にならなくなった。いや、当に、リベラリズムのことは嫌いにならないでください、と心の底から思った。 (「人文系の先生のことは嫌いでも、人文系学部は社会に必要だから嫌いにならないでくださ〜い」とか応用が効くような気もしてきた) この著者は、私が大学に入った頃、1・2年の教養学部の頃に『共生の作法』(創文社、1986年)を読んで以来、が出るたびに買って読んできた。 思い出深いのはやはりこれでしょうか。こののインパクトはすごかった。 『他者への自由―公共性の哲学としてのリベラリズム』(創文社、1999年) その当時

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  • イスラーム教をなぜ理解できないか(4)「リベラル・バイアス」を単刀直入に言うと | 中東・イスラーム学の風姿花伝

    先日紹介した、Temptations of Powerの著者Shadi Hamid氏が、‘Moderate Muslims’という小文をワシントン・ポスト紙のブログに寄せている。 「穏健派ムスリム」を探すのはもうやめよう、という議論で、欧米で(日でもそれを一知半解に真似て)繰り返されるクリシェの批判から、根的な思想問題に触れている。 The way we use the term, “moderate” means little more than “people we like or agree with.” Almost always, it signals moderation relative to American or European standards of liberalism, freedom of speech, gender equality and so on

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  • イスラーム教をなぜ理解できないか(1)「こころ教」のガラパゴス | 中東・イスラーム学の風姿花伝

    最近、いろいろな聴衆に向けて『イスラーム国の衝撃』を叩き台にして話す機会が多いのだけれども、イスラーム教の来の教義・規範・体系を話しても、必ずと言っていいほど「分からない」と言われる。 かなり単純化して基的なところを話しても「分からない」と言われるので、問題はイスラーム教の教義そのものやそれを私がどう解説するかではなく、日の聞き手の側に、「宗教」というものに対する頑迷な思い込みがあるからではないかと痛感する。 日の現在の宗教認識について、ヒントになる論説があったので紹介してみよう。 「「こころ教」と「原理主義」の時代が来る? ビジネスパーソンのための仏教入門(4)」 この記事は、浄土真宗の僧侶で仏教学者でもある佐々木閑氏へのインタビューである。佐々木氏はここで、日の既成仏教の「こころ教」化という概念を提示し、批判している。メインストリームの「こころ教」化が、そこで満たされない層の

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  • 【寄稿】『文學界』の「反知性主義」特集に | 中東・イスラーム学の風姿花伝

    中東・イスラーム学の風姿花伝 池内恵(いけうち さとし)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について、日々少しずつ解説します。有用な情報源や、助けになる解説を見つけたらリンクを張って案内したり、これまでに書いてきた論文や著書の「さわり」の部分なども紹介したりしていきます。予想外に評判となってしまったFC2ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝(http://chutoislam.blog.fc2.com/)」からすべての項目を移行しました。過去の項目もここから全て読めます。経歴・所属等はブログのプロフィール(http://ikeuchisatoshi.com/profile/)からご覧ください。 メニューとウィジェット

    【寄稿】『文學界』の「反知性主義」特集に | 中東・イスラーム学の風姿花伝
  • 「反知性主義」を読むならこの二冊 | 中東・イスラーム学の風姿花伝

    前項からの続き。 「反知性主義」が現代社会の重要で興味深い現象であることは確かだ。 それについて読むならこの二冊だろう。 まず、「反知性主義」に対する最近の関心の高まり・深まりを代表するのが、森あんり『反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体』(新潮選書)。 基的には「近年の学問的話題」としての「反知性主義論」の成果はこれだけ。あとは全部便乗です。最近便乗を出す速度だけは早くなってきているので、いいが出ていいテーマが提起されたな、と思う間もなくあっという間に便乗が溢れて、そういうのは大人数で書いているからそれぞれが大声で宣伝して、実際に学術的な知見を提示している人の声がかき消されてしまう。 このについての最もいい紹介は「週刊新潮」の匿名記者の短評紹介だったな・・・自社宣伝とはいえ、いい線をついていた。アメリカの反知性主義とはそれ自体がある種の知性的立場でもあり、近代的の

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  • 中東・イスラーム学の風姿花伝

    中東・イスラーム学の風姿花伝 池内恵(いけうち さとし)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について、日々少しずつ解説します。有用な情報源や、助けになる解説を見つけたらリンクを張って案内したり、これまでに書いてきた論文や著書の「さわり」の部分なども紹介したりしていきます。予想外に評判となってしまったFC2ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝(http://chutoislam.blog.fc2.com/)」からすべての項目を移行しました。過去の項目もここから全て読めます。経歴・所属等はブログのプロフィール(http://ikeuchisatoshi.com/profile/)からご覧ください。 メニューとウィジェット

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