◆サイクス・ピコ100年で引き裂かれた住民の思いを利用するIS 前回に続き、武装組織イスラム国(IS)による2014年の国境検問所制圧と国境線解体の映像で、撮影場所はイラク北西部の同じ検問所テル・サフク。前回は英語ISメディア部門アル・ハヤットが制作したものだが、こちらは別のメディア部門イッティサームがアラビア語で公開したもの。最高幹部2人が直接登場し、サイクス・ピコ協定が画定した「国境解体」をアピールした意味は大きい。この時、ISはモスルを制圧し、バグダディが初めて公に姿を現して「カリフ制再興」を宣言するなど、最も高揚していた時期である。こうした高揚感は、映像の最後に出てくるシーア派兵士を集団殺戮したスペイサー虐殺事件とつながっている。映像には地元住民の「インタビュー」が挿入され、サイクス・ピコ協定で100年にわたる分断された人びとの思いまでISが巧みに利用しようとしているのがわかる。
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