一志町誕生寺所蔵「石造阿弥陀如来立像」 近世期を中心にして、ごく最近まで全国的に広く行われていたものの一つに「庚申(こうしん)信仰」がある。 「庚申講」と呼ばれる信者の集団が、干支で言うところの庚申(かのえさる)の日に一戸の宿に集まり、庚申をまつってお神酒・精進料理などを祭壇に供え、念仏を唱えた後、雑談をして時を過ごす。多くは、夜を徹して行われる。 庚申信仰は、道教に説く三尸(さんし)説を母体として、密教や修験道、民間信仰や習俗などが複雑に組み合わさって成立したもので、それによると、人間の体内には三尸という三匹の虫がいる。これらは常に人間の罪を監視しており、庚申の晩に隙を見て天に昇り、天帝にその罪を報告する。その行為によって、人間は早死にすると考えられていた。しかし、庚申の夜に寝なければ、三尸は体内から出ることができず、天に昇ることもない。したがって、庚申の日に身を謹んで徹夜すれば、早死に