<< 前の記事 | トップページ | 次の記事 >> 2007年09月19日 (水)視点・論点 「『楢山節考』のこと」 詩人 蜂飼 耳 一度読むと、いつまでも心に残り、気になり続ける。そんな本が、誰にもあると思います。 私にとっては、たとえば、深沢七郎の小説『楢山節考』は、気になり続けている本の一つです。 1956年、昭和31年に出版された小説ですが、いまも文庫本などで読むことができます。 お米はめったに食べられません。 祭の日か、重い病気の人だけがお米を口にすることを許される、そんな村です。 この村には、ある仕来りがあります。 それは、70歳になると身内の者に背負われて、楢山という山へ行き、行ったきりになる。 ひと言でいうと、姥捨て伝説のようなことです。 『楢山節考』の登場人物は、もうすぐ70になろうとする、おりんという名のおばあさんと、 息子の辰平や、孫たちです。 私は