「中国の経済統計は信頼できるか」「不動産バブルを止められるか」など8つのテーマから中国経済を分析した『中国経済講義』。日本経済新聞2018年10月4日付夕刊の書評でも話題を呼び、刊行1ヵ月ですでに3刷となっている。著者の梶谷懐さんに、本書の狙いから中国経済研究の現在まで、幅広く聞いた。 ――中国経済をめぐっては、いずれ破綻するという「崩壊論」から、世界秩序を揺るがすとみる「脅威論」、最近ではキャッシュレス化などに着目した「スゴイ論」まで、多くの議論があります。そんななか、本書を著した思いを教えてください。 梶谷:中国経済に関する議論がブレやすいのは、データや統計の信頼性が低かったり、経済を動かしているシステムが見慣れている先進国のものと異なっていたり、「不確実性」が大きい経済だからだと思います。 アメリカ経済や日本経済について、例えば「実際の経済規模は公式統計の3分の1だ」などという根拠の