東京都足立区の病院で、手術直後の女性患者の胸をなめたなどとして、準強制わいせつに問われた乳腺外科医(43)に対し、東京地裁(大川隆男裁判長、内山裕史裁判官、上田佳子裁判官)は20日、「事件があったとするには、合理的疑いを差し挟む余地がある」として無罪とする判決を言い渡した。 被害証言は術後せん妄の幻覚体験の可能性 判決は、被害を訴えるA子さんの証言には迫真性があり、一貫しているとする一方で、母親の証言、他の医師や看護師の証言などを細かく検証。検察側は、病院関係者は口裏合わせをしていて信用できないと主張していたが、裁判所は「大筋において信用できる」と退けた。 そのうえで、乳房手術は術後せん妄の危険因子であり、手術に使われた麻酔薬や術後の痛みがせん妄の原因になる可能性がある、とする専門医の証言を検討。A子さんにはこの麻酔薬が通常より多く投与される一方、鎮痛剤の投与は少なく、術後に疼痛を訴えてい