あまり知られていない、あるいは忘れられてしまった重要な事実がある。約13年前に起きた福島第一原発の事故で最大の危機とされたのは水素爆発や漏れ出た放射性物質による被ばくではなく、4号機の核燃料を保管するプールだった。プールの水が干上がれば1535体の核燃料が溶けだし、膨大な量の放射性物質が人々が暮らす環境中に放出され、東日本に人が住めなくなると予測された。その危機を食い止め、暴走する原発を安定化させるに至った背景には、ある中国企業の「善意」があった。 【死と隣り合わせの現場…「何かできないか」中国出身男性の思い】その光景は現場で事故収束作業にあたった人たちの脳裏に今もこびりついている。2011年の3月12日と14日、15日に起きた福島第一原発の水素爆発。吹き飛ばされた無数のコンクリート片が地上に砕け落ち、大量の放射性物質が周囲に撒き散らされた。死と隣り合わせの状況下で、原子炉建屋のすぐ傍にい
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)は、心神喪失又は心神耗弱の状態(精神障害のために善悪の区別がつかないなど、刑事責任を問えない状態)で、重大な他害行為(殺人、放火、強盗、不同意性交等、不同意わいせつ、傷害)を行った人に対して、適切な医療を提供し、社会復帰を促進することを目的とした制度です。 本制度では、心神喪失又は心神耗弱の状態で重大な他害行為を行い、不起訴処分となるか無罪等が確定した人に対して、検察官は、医療観察法による医療及び観察を受けさせるべきかどうかを地方裁判所に申立てを行います。 検察官からの申立てがなされると、鑑定を行う医療機関での入院等が行われるとともに、裁判官と精神保健審判員(必要な学識経験を有する医師)の各1名からなる合議体による審判で、本制度による処遇の要否と内容の決定が行われます。 審判の結果、医療観察法の入院による医
政治思想史家・重田園江さんの好評連載「アナキスト思想家列伝」第21回! 今回は、日本でもベストセラーになった文明史本についてグレーバーらが抱いていた疑問を解説します。 ※これまでの各シリーズは下記よりお読みいただけます。 「序 私はいかにして心配するのをやめ、アナキストについて書くことにしたか」へ 「ジェイン・ジェイコブズ編」の第1回へ 「ヴァンダナ・シヴァ編」の第1回へ 「ねこと森政稔」の第1回へ 「ポランニーとグレーバー」の第1回へ 「グレーバー」の第1回へ 考古学とのコラボレーション このように見てくると、文明の進歩と、小さく単純な社会から大きくて複雑な国家への発展という歴史像への疑念は、人類学における一つの伝統だといえる。あるいは文明史に対する人類学的懐疑といってもよい。こうした伝統を受け継ぐ新たな試みとして、グレーバーとウェングロウの『万物の黎明』を位置づけることができる。ここ
政治思想史家・重田園江さんの好評連載「アナキスト思想家列伝」第20回! 今回はグレーバーの遺著の意図を伝えながら、日本でも売れつづけているスコット著『ゾミア』と関連させ、「国家に抗する社会」という視点を解説します。 ※これまでの各シリーズは下記よりお読みいただけます。 「序 私はいかにして心配するのをやめ、アナキストについて書くことにしたか」へ 「ジェイン・ジェイコブズ編」の第1回へ 「ヴァンダナ・シヴァ編」の第1回へ 「ねこと森政稔」の第1回へ 「ポランニーとグレーバー」の第1回へ 「グレーバー」の第1回へ 遺著『万物の黎明』は何を目指したか グレーバーの民主主義=アナキズム像を知って胸が熱くなってきた。そこで次に、The Dawn of Everything: A New History of Humanity(以下、本文中では『万物の黎明』)を取り上げることにしよう。これは、グレー
コロナ禍以降に使い切れないほど肥大化している国の基金をめぐって、約190ある事業のうち、少なくとも2割にあたる43事業で、成果の数値目標が設定されていないことが分かった。無駄遣いの温床になる可能性がある。政府は基金予算を決める際に、所管する省庁に数値目標を策定・公表させる検討に入った。 内閣官房は、各省庁に成果目標を数値で示すよう求めているが、必ずしも守られていない。朝日新聞が9~10月に各省庁が公表した資料を分析したところ、43事業で数値目標がなかった。これらの2022年度末の基金残高は、合わせて約5兆円にのぼる。 例えば、文部科学省が所管する、破壊的イノベーションの創出を目指す「ムーンショット型研究開発プログラム」は、研究成果を生かした製品を市販する時期や、その販売額といった目標が示されていない。「失敗を許容しながら挑戦的な研究開発を推進するため」(戦略研究推進室)だと説明する。 残る
「僕は文科省がフリースクールの存在を認めてしまったということに、がく然としているんですよ。」これは10月17日に滋賀県の会議で発言した東近江市の小椋正清市長の音声です。会議では、不登校の小中学生数が過去最多を更新して、国がフリースクールなどを支援する中、県独自の対応策に向けて各自治体トップらに意見が求められていました。 (小椋市長)「大半の善良な市民は、本当に嫌がる子どもを無理して学校という枠組みの中に押し込んででも、学校教育に基づく、義務教育を受けさそうとしているんです。」 「無理して無理して学校に行っている子に対してですね、『じゃあフリースクールがあるならそっちの方に僕も行きたい』という雪崩現象が起こるんじゃないか。」 「フリースクールって、よかれと思ってやることが、本当にこの国家の根幹を崩してしまうことになりかねないと私は危機感を持っているんです。」 このように持論を展開した市長。東
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消費税のインボイス制度が10月1日にスタートすると、対応のための新たな業務が発生し、全国で毎月約3400億円の人件費が発生する可能性がある――電子帳簿サービスなどを提供するLayerXがこんな調査結果を発表した。 政府はインボイス制度により年間約2500億円の税収増を見込んでいるが、わずか1カ月で想定年間税収を上回るコストがかかる計算だ。 手作業によるインボイス対応を体験できるLayerXのツール「インボイス制度対応 体験キット」を使った研修を行った40社・200人の作業時間を基に、請求書の支払処理と経費精算の処理に関わる平均時間を算出した。 その結果、手作業でインボイス対応を行った場合の作業時間は、請求書支払処理で1件当たり15分、経費精算で同5分増えていた。 この作業時間をベースに、経理1人当たりの追加業務負担を計算したところ、月約1~2営業日増加することが判明。経理以外の従業員も、1
またテレビに出ている――。ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、ロシア軍事研究家の小泉悠さんをメディアで見ない日はない。わかりやすく冷静な語り口で、戦況や国際情勢の解説を続けてきた。ロシアへの留学経験があり、妻はロシア出身で子どももモスクワで生まれている。プライベートでも縁が深く、多くのロシア研究者と同じように「愛着のようなもの」もなくはなかった。そのロシアが侵攻を始めて1年、どんな思いで戦争を見つめてきたのだろうか。ロシアを見る目は変わったのか。本人に問いかけると、今回の侵攻を巡って2つの「ショック」があったという。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice) ――長年、ロシアの軍事を研究してきた小泉さんですが、今回の侵攻によってロシアに対する向き合い方に変化はありましたか。 小泉悠: ロシア研究者は多かれ少なかれ、ロシアという国に対して好意的な部分がある方が
安倍晋三元首相の銃撃事件を契機に、政治と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係がクローズアップされ、議論を呼んでいる。政治家は宗教団体とどう関わるべきなのか。政治と宗教の関係や宗教倫理に詳しい同志社大学神学部の小原克博教授に聞いた。(時事通信政治部 堀内誠太) オンラインでインタビューに応じる小原克博・同志社大神学部教授【時事通信社】 【政界Web】前回記事は⇒異色の牧師政治家に聞いてみた 旧統一教会問題「放置できぬ」 【目次】 ◇問われる政治家のモラル ◇フランスと異なる背景 ◇献金規制、宗教活動の制限に 問われる政治家のモラル ―信教の自由を定めた憲法20条は、政治による宗教への介入を禁じる。旧統一教会と政治の関わりをどう見るか。 社会的に問題があるとされる団体との付き合いは、宗教団体に限った話ではない。政治家の「特権」をうまく利用しようとする団体は無数にある。政教分離の問題はもちろ
大阪府泉南市の中学1年の男子生徒が自殺した問題。市の教育委員会は、男子生徒が学校に相談した内容を全て黒塗りして遺族に開示していたことがわかりました。 今年3月、泉南市の中学1年の男子生徒が自ら命を絶ちました。「いじめを受けたと教師に相談したものの対応してくれない」と母親に漏らしていました。 母親は8月、市の教育委員会に対して、男子生徒と学校のやりとりの記録や相談した内容などが記された文書を開示請求。約140ページにわたる文書が開示されましたが、名前や日付以外は全て黒塗りでした。理由について泉南市教育委員会は「今後立ち上がる予定の第三者委員会の調査に影響を与えるため」としています。 (男子生徒の母親) 「(男子生徒は)ずっと自分で闘ってきて、あの子自身もずっといろんなところに訴えて。彼は失望してこういう形になっていると思うんです」 通っていた中学校では、クラスメイトたちにも男子生徒が亡くなっ
国が選択と集中で大化けする研究に投資を集中するのは無理だということがよくわかる話 2022年05月22日日常 16 Tweet 将来大化けする科学研究だけを国が選択的に集中投資するなんて話は机上の空論だ。 そんなことが可能だというのならまずは数多いるボカロPの中から第二の米津玄師を見出してみてほしいし、数多いるYouTubeの歌い手の中から第二の藤井風を見出してみてほしい。— カエル先生・高橋宏和 (@hirokatz) May 20, 2022 どの科学研究が大化けするか、どのクリエイターが大化けするかは事前に100パーセント予測できないから、トライアンドエラーで試行回数を爆上げするしかないと思ってます。— カエル先生・高橋宏和 (@hirokatz) May 20, 2022 日本のボカロと歌い手動画文化の試行回数の多さはカンブリア爆発並み。— カエル先生・高橋宏和 (@hirokat
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