その夜。Second Lifeのダンスクラブに皿を回しにやってきた「彼女」は素敵だった。小柄だけれど洗練されたファッションと身のこなし。反応のいい会話。幾人かが彼女を取り囲み、そのセンスをほめ、友人になりたいと「親愛の情」を示した。ところが夜も更けて、去り際に「彼女」は「ごめんね、俺男だったんだあ。すんません」と捨て台詞を残して消えた。一同に深い絶望の空気が流れた。一番熱心に彼女に話しかけていた男(のアバター)の溜息は深すぎて笑うことも憚られた。 こんなことは、よくあることと言えばよくあることだ。ネットではこうした行動を「ネカマ」などと評して、従来はどちらかといえば非難される行動だったと思うが、不思議なことにSLでは殆ど糾弾の対象にならない。「First Life」に対する「Second Life」は自由な世界であるべきという信仰がそこにあり、性別を変えることは許される範囲として認める空気
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