自転車事故の「天国と地獄の分かれ目」 自転車が交通事故の加害者になった、歩行者が死傷したという事故が起きても、ほとんどは断片的な外形しか報じられていない。 裁判傍聴マニアである私は、自転車事故の刑事裁判を数多く傍聴してきた。そのなかで、「自転車事故はここが天国と地獄の分かれ目だ!」と強く感じることがある。死傷事故が起こってなにが「天国」だ、ではあるのだが。どこがどんな分かれ目か、今回はその話をしよう。
給与明細には、基本給や残業代など各種手当の合計である「総支給金額」(額面)と、社会保険料や税金などが天引きされた「差引支給額」(手取り)が記載されている。ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さんは「社会保険料のうち、健康保険料や厚生年金保険料は4~6月の給与を基に算出される。そのため、この期間に残業が多いと1年分の天引き額に影響する」という――。 4~6月の給与を基に社会保険料が決まる 「4~6月に残業が多いと損をする」というのはよく言われることです。残業をすると時間外手当がつきますから給与は増えます。一方、社会保険料の計算は、4~6月までの3カ月間の給与が基になります。そして、その保険料が適用になるのは、9月(10月支払分)から翌年8月(9月支払分)までの1年間です。 もし、7月以降は残業があまりなく、給与が下がっていたとしても、時間外手当がついていたときの給与水準で社会保険料が引かれま
共働き世帯が片働き世帯を上回るようになって久しい。今、専業主婦は夫が高収入の世帯と低収入な世帯に二極化している。社会学者の上野千鶴子さんは「夫の所得階層別で見ると、年収100万円未満の世帯で妻の有業率がもっとも低い。貧困なのになぜ働かないか。背景には貧困層ほど伝統的な性別役割分担を受け継いでいることがあるように思える」という――。 ※本稿は、上野千鶴子『こんな世の中に誰がした?』(光文社)の一部を再編集したものです。 専業主婦は社会的に消えていく存在 結婚している夫婦のあり方にも変化が起きています。 1980年代は、片働き世帯が圧倒的に多かったのですが、1997年には共働き世帯が片働き世帯を上回るようになりました。以後、夫婦のダブルインカム率はどんどん高くなっています。 今、専業主婦のいる世帯は圧倒的少数で、2021年で片働き世帯は23.1%にすぎません。20代に専業主婦願望を持つ女性が増
地方の大衆消費の受け皿となっているイオン 活況を呈する富裕層消費とインバウンド需要の回復によって、基幹店の売上が過去最高となる店もあるなど、業績好調な大手百貨店とは異なり、地方では百貨店閉店のニュースが続いている。最近では島根県、岐阜県で県内最後の百貨店が閉店(閉店を決定)となり、今年、全国で百貨店のない県は、山形県、徳島県、島根県、岐阜県の4県となる。 富裕層やインバウンドの盛り上がりを享受しがたい地方においては、大衆消費から離れつつある百貨店の存在感は希薄化しつつあるのだが、こうした地方の大衆消費の受け皿として存在感を示しているのは、イオン・グループをおいて他にないだろう。総合スーパーとして全国展開しつつ、スーパー、ドラッグストア、様々な専門店を自社グループ内に擁し、様々な規模のショッピングモールを全国展開している小売業は、今やイオン以外ないのである。 小売業売上トップはセブン&アイだ
千葉県郊外で「30坪2500万円」といった格安の新築戸建てが増えている。「限界分譲地」を取材するブロガーの吉川祐介さんは「そもそも住んではいけない場所なのに、土地の安さから開発が進んでいる。50年ほど前に開発された近隣地は、ほとんど人が住まない『限界分譲地』となっていて、それを繰り返す恐れがある」という――。 限界分譲地に新築住宅が建ち始めた 不動産の価格を決める要因は、何よりも立地条件と利便性である。その他、需給バランスに左右される面もあるが、その需要を決めるのも結局は立地条件である。 ところが近年は、建築資材の高騰によるものなのか、都市部ではマンション価格も含めた不動産の価格が上昇傾向にある。その影響が郊外まで波及しているのか、公示地価は例年通り下落している地域ですら、住宅価格が上昇する奇妙な現象がみられるようになった。 新築価格が高騰すれば当然中古住宅のニーズも高まるわけで、不動産会
今年春以降、マイナンバーカードに関わるトラブルが次々と明るみにでた。 「コンビニで他人の住民票が発行された」「マイナンバーカードと一体化された健康保険証に、他人の情報が登録されていた」「マイナンバーカード取得者向けサイト『マイナポータル』で他人の年金記録を閲覧できた」「公金受け取り口座に別人が登録された」など。 いずれも政府が「マイナンバーカードを使えばこんなに便利になる」と、大々的にアピールしてきた分野だけに、衝撃は大きい。 政府が急ごうとするほど国民は不安になる マイナンバー制度が2015年に導入された当時は、「マイナンバーは個人情報であり、絶対に他人に知られてはいけない」などと言われ、保管用金庫の売れ行きが伸びるといった騒ぎもあった。なのに、他人の目に情報をさらすようなことが続出しているとは。なんともショッキングだ。 コンビニでの誤発行は、富士通の子会社が開発したシステムに問題があっ
岸田政権は「サラリーマン増税」の検討を進めている。その背景にはなにがあるのか。公認会計士の山田真哉さんは「会社員の経費は収入の3%が実態だが、給与所得控除は収入の3割もあり、主要国の水準と比べても高い。政府は働き方による税負担の差をなくそうとしている」という――。 「サラリーマン増税」に怒りの声 政府の税制調査会(政府税調)が「サラリーマン増税」を議論したことが報じられ、「会社員だけに増税するのか、ふざけるな!」という大きな反発が起きています。 実際に政府税調の答申(レポート)を読んでみると、「通勤手当」への課税や「退職金」への増税など、今後さまざまな増税を予定していると読み取れます。 ただ、議論の核心はあくまで「会社員は税制上優遇されている」という点です。焦点は「給与所得控除の引き下げ」で、これが実施されれば、会社員にとってかなりの負担増が予想されます。 私のYouTubeチャンネル「オ
シングルへのスティグマと社会的プレッシャー スティグマという言葉の語源は、「汚点(ブレミッシュ)」とか「印(しるし)」というような意味で、ギリシャの文化に深く根ざしている。 スティグマは、裏切り者や犯罪者、奴隷の皮膚にはっきりとつけられた刺青や烙印(らくいん)のことで、それを見れば彼らが道徳的に劣った人間であることがわかるようになっていた。公然と避けて、遠ざけるべき、「汚染された人間」というわけだ。その意味は当時から少しずつ変わってきた。 こんにちでは、スティグマは、精神的、身体的な障碍(しょうがい)や、人種、民族、健康、教育など、いろいろなかたちで存在し、さまざまな面で人々に影響を与えている(※1)。 人が一度スティグマを与えられると、それはその人の感情や信念にネガティブな影響をもたらす。特に、そのネガティブな心理的作用は精神疾患を引き起こし(※2)、自己肯定感を低下させ(※3)、落ち込
元気な腎臓がなければ長生きはできない おしっこは、健康のバロメーターです。 あなたのおしっこはどんな状態でしょうか。 ●おしっこの色が赤くにごっている、もしくは白っぽい ●おしっこの泡立ちがすごい ●夜中に何度もトイレに行く どれか一つでも当てまはる人は、長生きできないかもしれません。なぜなら、腎臓に何らかの異常を抱えている可能性があるからです。 なぜ腎臓が長生きと関係するのでしょうか。 あなたは「おしっこが丸一日出ないと、命のキケンにさらされる」という話をご存じでしょうか。それは、腎臓が血液をきれいにするという役割と関わります。 腎臓で血液中の老廃物(体のゴミ)や毒素をろ過し、おしっこを通じて体外に排出するのです。血液に乗って運ばれてきたゴミは、腎臓の糸球体という組織でふるいにかけられて、不要なものはおしっことして排泄されます。つまり、おしっこは血液からできているわけです。 糸球体は毛細
かつて君主制国家では「戴冠式」などの即位儀礼が行われてきたが、じつはイギリスを除く欧州の国々ではすでに廃止されている。ライターの中原鼎さんは「欧州では『形式的で金食い虫』という批判から、イギリス以外は儀礼を続けることができなかった。この世界的な流れは日本の即位礼にも影響を及ぼす恐れがある」という――。 莫大な税金が投入された英チャールズ3世の戴冠式 「共和主義者であろうと君主主義者であろうと、視聴者のほとんどはコストを最小限に抑えることを望んでいると思います」 2023年5月6日、イギリス国王チャールズ3世の戴冠式がロンドンのウェストミンスター寺院で挙行された。冒頭に示したのは、これに先立ってスコットランド自治政府のハムザ・ユーサフ首席大臣が語った言葉であるが、まさに正鵠せいこくを射たものだと評すべきだろう。 世界が注目したあの式典には、いったいどれほどの金額がかかったのか。バッキンガム宮
「アイ・ラヴ・ユー」なんて自分には無関係だった 30歳くらいまで、異性とつきあったことがなかった。一対一でデートみたいなことをしたことも一度もなかった。 高校から浪人の頃となると、異性と会話をした憶えもあまりない。高校は共学だったので近くにはいたのだろうが、名前を憶えている女子すらほとんどいない。 30歳くらいになってつきあいはじめたのは、書いた本がベストセラーになったので、興味関心が合う異性と格段に出会いやすくなったからだった。そんな特殊な事情がなければ、その後もどうなっていたかわからない。 もともと恋愛には、それほど熱意はなかった。女子にモテようと努力するなんて、そもそも恥ずかしいではないか。「アイ・ラヴ・ユー」なんて、自分には無関係な、歌に出てくるだけの言葉でしかなかった。しかも、誰でもそんなものだろうと思っていた。
最も大きな「無駄な支出」 無駄な支出で最も大きなものは不要な保険でしょう。 誤解のないように申し添えておきますが、私は保険というのはとても大事なものだと考えています。人類が考え出した偉大な叡智の一つだとさえ思っています。なぜなら、保険というのは自分一人の力ではどうにもならない経済的な問題が起こった時にそれを解決してくれるからです。 ということは、自分一人で解決できる経済的な問題であれば、保険に入る必要はないということですね。では、ここから具体的に考えてみましょう。 保険が必要な3つの条件 私は、保険を絶対に利用すべきなのは、次の3つの条件が揃そろったケースだと思っています。 まずはじめは「めったに起こらないこと」です。めったに起こらないからこそ、安い保険料でたくさんの補償が得られるのです。しょっちゅう起きることなら保険料がとても多額になってしまいますから、入るべきかどうかは慎重に考えるべき
失敗は誰の身にも起きるが、失敗をごまかし、ウソで上塗りするのは、組織として最低の事後対応だ。そんな最低な対応を、全国の郵便局を運営する日本郵便が最近、また一つ積み重ねている。地域の住民や郵便の利用者を蔑ろにして、郵便局長会という身内に利得を横流しするためだ。『郵便局の裏組織』(光文社)を上梓した朝日新聞の藤田知也記者が解説する――。 取締役会のウソ報告を「手続きミス」と釈明 賃料が得られる郵便局舎の移転先物件を郵便局長に持たせようと、取締役会へのウソ報告が日本郵便では横行していた。これは筆者が2021年の夏から追及してきた疑惑である。 日本郵便は4月26日公表のニュースリリースで、ウソの報告を基に取締役会が承認した局長の局舎取得が103件あり、対象期間の移転局舎の3分の1超を占めると認めた。全国13支社のうち9支社で働く社員52人が、ウソ報告に関与していたのだが、同社の信用をさらにおとしめ
3月7日、イギリス公共放送BBCが、TV局として世界で初めてジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏(2019年死去、享年87)の性加害を詳報した。この問題は1999年に『週刊文春』が報じ、ジャニー氏は報道を否定して提訴したが、2004年2月の高裁判決で性加害の事実が認められている。だが、依然として国内での報道は限定的だ。ロンドン在住ジャーナリストの木村正人さんは「日本のメディアが横並びのムラ社会である証左だ」という――。 家父長制が覆い隠す「芸能界最大のタブー」 「これを我慢しないと売れないから」「僕1人お風呂入れられて全身洗われて、お人形さんみたいに。別の日には口でされた」。2019年、87歳で亡くなった“ジャニーズ王国”創設者ジャニー喜多川(本名・喜多川擴ひろむ)の児童性的虐待を取り上げたTVドキュメンタリー「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」が7日、英BBC放送で放映さ
日本の演劇やコンサートでは「S席のチケット」を買っても、ステージから遠かったり、端の見えにくい席になる場合もある。日本女子大学の細川幸一教授は「S席のSは、『スペシャル』の略だろう。ところが多くの劇場で『名ばかりのS席』が目立つ。これは事業者の都合で不誠実だ。日本の観客はもっと怒ったほうがいい」という――。 席種の表示をめぐって消費者庁が初めて措置命令を出した 最近、コンサートチケットの席種をめぐる問題が話題になった。2022年5月に東京ドームで開催されたロックバンド「L'Arc~en~Ciel」(ラルク・アン・シエル)の結成30周年記念ライブで、購入した座席と実際の席種が違っていた、という問題だ。 消費者庁が2月15日、コンサート提供事業者3社に景品表示法に基づいて措置命令を行った。 発表によれば、記念ライブは、S席よりさらにグレードの高いSS席を1階アリーナ席に配置していた。座席表には
解雇規制の緩和に関する議論が活発化する中、日本企業はどんな方針をとるべきなのか。昭和女子大学特命教授の八代尚宏さんは「現行の労働基準法では解雇手当は『30日分の賃金』とあまりにも低すぎる。男性の場合、解雇解決金として最大で大企業なら38.6月分=約1700万円、小企業なら17.7月分=約600万円とするといった試算もある」という――。 議論沸騰「厳し過ぎる解雇規制」の緩和、3つの誤解 日本の賃金水準は、過去20年間以上にわたってほとんど上昇していない。この異常さがようやく最近になって認識されており、その改善のために成長分野への労働移動が唱えられている。この手段のひとつとして、現行の「厳し過ぎる解雇規制」の緩和があげられているが、ここには三つの誤解がある。 第1に、日本の労働法では、組合活動の保護や育児休業などの場合を除き、解雇の際には30日分の賃金支払の義務付けしかない。この解雇手当さえ支
免税事業者に大打撃を与える「インボイス制度」 一般の会社員の方はあまりご存じないかもしれませんが、2023年(令和5年)10月、「インボイス制度」導入という消費税法の大改正が実施されます。 インボイスは「適格請求書」といい、消費税額を明記した請求書のことです。この請求書がないと、事業者が国に消費税を納める際、仕入れにかかった消費税を控除してもらえなくなります。仕入れにかかる消費税を控除してもらえる仕組みは「仕入税額控除」といい、これについては後ほど詳しく紹介したいと思います。 さて、インボイスが「消費税額が明記された請求書」なら、いままでとあまり変わらないと思われるかもしれません。しかし、今回の改正のポイントは、インボイスを発行できるのが適格請求書発行事業者(以下、適格事業者)だけであるところです。適格事業者は、国に消費税を納めている課税事業者のことで、請求書にはそのことを証明する「T」か
日本では「スポーツ選手のくせに」という非難を耳にすることがある。元ラグビー日本代表で、神戸親和女子大学教授の平尾剛さんは「これはアスリート側にも問題がある。私自身も現役時代は競技のことしか見えておらず、不勉強で無知なのに自意識だけは高かった。そうした振る舞いを続けると、アスリートは社会から利用されるだけで終わってしまう」という――。 世間を賑わす東京五輪の「汚れた金」 東京五輪の開催から1年以上が経過した今になって、東京五輪の「汚れた金」が世間をにぎわしている。 東京五輪のスポンサーでもあった紳士服大手「AOKIホールディングス」や出版大手「KADOKAWA」の元幹部らから賄賂を受け取ったとして、大会組織委員会(JOC)の元理事らが受託収賄罪で、KADOKAWA会長の角川歴彦容疑者らが贈賄の容疑で逮捕されたのだ。 振り返れば開催当初から、新型コロナウイルスの感染拡大が続いているにもかかわら
「家具屋3代目」修行先で任されたのは配送だった ぼくは24歳の頃、ある北欧系の家具メーカーで働いていました。家業を継いで家具屋になることを決心したぼくに、「まずは修行」と父が紹介してくれたのがこの会社だったのです。 「修行」と言っても、任されたのは販売でも買い付けでもなく、配送の仕事でした。来る日も来る日も、2トントラックを運転し、ひたすら家具を運び続けます。組み立て式の家具が多かったので、家の中に運び入れ、組み立てて、配置するまでがワンセット。これを1日に5~6軒ほど繰り返します。単調で、体力任せな肉体労働です。「一体自分はここで何をやっているんだ」。重たい家具を運びながら、何度思ったことかわかりません。 それでも続けたのは、学びがあったからです。売り場から届けられた家具が、実際にお部屋に配置された状態を見れるのは配送員だけ。これから家具業界で生きていくぼくにとって、他人の家を見る、家具
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