原辰徳監督の「侍ジャパン」は日本力(にほんぢから)を発揮し、見事ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を連覇した。余韻がさめないうちに、政府は「侍」を銘打った紙幣、サムライ札を直接発行してはどうか。 「エープリルフールだ」とか、「円」に対する信認が損なわれ、悪性インフレになる、と揶揄(やゆ)されるかもしれない。では歴史的にはどうか。 米国の場合、南北戦争(1861~65年)時にリンカーン大統領が発行した。当時の北軍地域の物価は1860年を100とすると、64年は176とインフレにはなったが、翌年には終息した。対照的に敗れた南軍地域の物価は64年に3992となり、映画「風と共に去りぬ」が描く災厄が起きた。北部は豊富な生産能力と労働力がリンカーン札によりうまく動員され、勝利した。 日本では、明治初期の太政官札がある。由利公正の発案で、「全国の田畑石高に照らして紙幣を製造し以て一時の急を救