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ブックマーク / el.jibun.atmarkit.co.jp (29)

  • 鼠と竜のゲーム(8) リブパック・クロラ:Press Enter■:エンジニアライフ

    ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。 T市立図書館事件について、最初の数日間は続報を追いかけていたものの、少なくともネット上に目立った新情報が上がってくることがなかった。ネット上での議論も次第に沈静化していた。Twitterや、2chでは継続的にさまざまな意見が交換されているものの、新たな事実が出てこないので、単に似たような見解がループされているだけでしかなかった。 ぼく自身、日々の業務の忙しさにまぎれて、この事件のことばかり考えてはいるわけにはいかなかった。ネットから得られる情報に進展がない以上、何の行動を起こすこともできない。東海林さんや川嶋さんは、すでにこの事件に対して興味を失いつつあるらしく、話題にしようともしなかった。ぼくが先輩たちの立場なら、最初の1日で記憶から消し去っていたに違いない。そうなっていなかっ

    鼠と竜のゲーム(8) リブパック・クロラ:Press Enter■:エンジニアライフ
    Barak
    Barak 2012/11/14
  • 鼠と竜のゲーム(7) 起訴猶予:Press Enter■:エンジニアライフ

    ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。 タカシのT署での生活は、当初の緊張感がすっかり抜け落ち、怠惰なサイクルで回っていくようになっていた。 取り調べは相変わらず小林警部補によって続いていたが、双方ともに手詰まりといった感があった。警察側は新たな追及材料を見つけることができず、タカシも言うべきことはすべて話したと考えていたので、取り調べは以前に聴取した内容を、だらだらと反復するだけになっている。実況見分以来、佐伯警部補は姿を見せず、プログラムの解析を進めているのか、タカシと同じようにやるべきことはやったと考えて、それっきりになっているのか、まったく状況がつかめない。小林警部補に聞いてみても、「聞いとくよ」と言うだけで、答えが返ってきたためしがなかった。 6月10日、タカシは再びは藤沢区検察庁に連れて行かれ、前回と同じ丸

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    Barak
    Barak 2012/11/14
  • 鼠と竜のゲーム(6) 接見、謎のコード、実況見分:Press Enter■:エンジニアライフ

    ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。 裁判所で裁判官と面接するまで、タカシはまだ希望を捨て去ってはいなかった。検察が勾留請求を行ったとしても、裁判官にきちんと主張すれば、もしくは警察で自分の作成したプログラムの解析が完了すれば、T市立図書館へのアクセスに一片の害意もなかったことは、すぐに理解してもらえるだろうと考えていたのだ。 しかし、タカシがそのような甘い幻想に浸っている間も、法の手続きは粛々と進められた。検察の勾留請求はあっさり認められ、タカシの身柄は速やかにT署に戻された。そして元の房に入れられ、冷たい鉄格子によって外界と遮断されたその時になって初めて、タカシにとっては、いや普通にWebアプリケーションを作成したことがあるプログラマであれば自明の理である事実を、司法関係者の誰1人として理解してくれなかったことを

    鼠と竜のゲーム(6) 接見、謎のコード、実況見分:Press Enter■:エンジニアライフ
    Barak
    Barak 2012/11/14
  • なぜエンジニアは勉強会で会社名を出せないのか:雲(クラウド)の隙間から青空が見えた:エンジニアライフ

    ■勉強会で自社名を隠す人々 今年の2月に転職して以降、勉強会やカンファレンスでの発表資料に僕は会社名を書くようになった。 2010年9月にコミュニティで初めてのライトニングトークをして以降、今年の2月に転職するまで、僕は合計9回、ライトニングトークや、セッションで登壇している。そしてそのいずれも、会社名はあえて伏せていた。 そういった場面で名刺交換をする機会はあっても、僕は個人で作成した名刺を使い、会社の名刺を出すこともしていない。その当時、僕がなんという会社に勤務しているのか、おそらくほとんどの人は知らなかったはずだ。 転職以降も、こういった活動は続けているが、今は自己紹介で、どこの会社で、どういった仕事をしているか名乗るようになった。名刺交換でも、会社の名刺を出している。 勉強会やカンファレンスに行くと、様々な人と出会う。登壇者と仲良くなることもある。そういった人たちと話をしていると、

    なぜエンジニアは勉強会で会社名を出せないのか:雲(クラウド)の隙間から青空が見えた:エンジニアライフ
    Barak
    Barak 2012/11/09
    何で会社の名前をわざわざ出してやらなきゃならん!(上から目線)
  • 鼠と竜のゲーム(4) 検察取調:Press Enter■:エンジニアライフ

    ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。 これまでタカシは、自分が暮らしている国が、法治国家であるということを疑ったことはない。法を守り、きちんと税金を納めていれば、自分と家族の安全は法によって保護されているのだと信じていた。もちろん冤罪のニュースを耳にしないわけではないが、それは大気圏外から落下してきた隕石がピンポイントで命中するぐらいのレアケースで、自分が遭遇する確率は限りなく低いに違いない。しかし、手錠と腰縄によって自分の身体が拘束されたときから、それらの価値観が、次第に崩れていくのを感じていた。 身体検査が行われ、留置場に入れられたときも、タカシはまだこれが手続き上の齟齬か何かにすぎず、技術者が自分の作成したプログラムを解析してくれさえすれば、すぐに釈放されて家に帰れるものだと信じていた。だが、そんなタカシの必死

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    Barak
    Barak 2012/10/24
  • 鼠と竜のゲーム(5) 消えたソース:Press Enter■:エンジニアライフ

    わざわざ警察に電話をかけるとはヒマな人もいるものだ、と思ったものの、プロフィールを見ると、産業技術総合研究所の情報セキュリティ研究センターに所属する、高村ミスズ研究員だとわかった。自身のブログでセキュリティ問題を取り上げていることで有名な人だ。ぼくもたまに目を通している。過去に読んだブログの内容から判断した限りでは、きちんと時間をかけてしつこいぐらいの調査をし、的確な指摘を行っていたはずだ。この人が警察に電話をかけたのは、それなりの危機感によるものらしい。 もし、この程度の問題で逮捕されてしまうなら、一般的なクローラや、スクレイピングプログラムの作成などは、ほとんど違法ということになってしまう。たとえば、ぼくが以前に下請けで携わった配送管理システムの機能の1つとして、郵送物の追跡機能を作成したことがある。郵便のお問い合わせ番号で、日郵便郵便物個別番号検索ページにアクセスして、配送結果や

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    Barak
    Barak 2012/10/24
  • 鼠と竜のゲーム(3) 逮捕報道:Press Enter■:エンジニアライフ

    ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。 ぼくの名前は井上ヨシオ。横浜市内にある小さなベンチャー企業、サードアイシステムに勤務している。25才、独身。趣味映画読書。 最初からこの業界にいたわけではない。IT業界の悲惨な現実は耳にしていたので、大学在学中の就職活動では、むしろ避けてすらいた。4年生の春、大手狙いを捨てた地道な就職活動と、サークルの先輩のコネで、都内の小さな出版社に何とか内定が決まったときは心から安堵したものだった。ところが、入社1カ月後に出版社が倒産という憂き目に遭い、ぼくは初任給すら受け取れないまま、次の就職先を探す羽目になった。数十社から断られた後、最後に拾ってくれたのが、サードアイだった。 ぼくにとって、それはこんな風に始まった。近くの牛丼屋で慌ただしい昼を済ませ、コンビニでヤングジャンプを立ち

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    Barak
    Barak 2012/10/11
  • 鼠と竜のゲーム(2) 取り調べ:Press Enter■:エンジニアライフ

    ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。 ワンボックスカーに乗せられて数分ほど経過したところで、ようやくタカシの動揺も静まってきた。同時に、寒気にも似た恐怖感が、実感となって身にしみてくる。 まだまだ冷静な精神状態とはほど遠いものの、タカシは隣に座っていた佐伯警部補に話しかける勇気をなんとか振り絞った。 「あの、すみません」 「ん?」膝の上に広げたノートPCを一心不乱に覗き込んでいた佐伯警部補は、少し苛立たしげに顔を上げた。「はい、何か?」 「さっきも言いましたが、あの程度のアクセスでサーバがダウンするって、ちょっとおかしいと思うんですが……」 「でも実際にダウンしてますからね」佐伯警部補はノートPCのモニタに、素早く視線を走らせた。「サーバが落ちた時刻と、あなたの家からのアクセス時刻が一致してるんですよね」 「でも、そ

    鼠と竜のゲーム(2) 取り調べ:Press Enter■:エンジニアライフ
    Barak
    Barak 2012/10/03
  • 鼠と竜のゲーム(1) 家宅捜索:Press Enter■:エンジニアライフ

    ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。 あなたはもう結末を知っている――T市立図書館システムにまつわる拙速な逮捕劇、そしてクロラ氏が最終的に名誉を回復したいきさつを。だが、あなたは発端――この事件の遠因となった1人の男の不可解な暗躍の理由を知らない。それは、彼が棲息する企業が、企業倫理を軽視し、技術よりも利益を追求した結果によるものだ。ましてその裏話――あるベンチャー企業の生き残りを賭けた物語となれば、なおさら知りようもない。 倉敷タカシにとって、5月25日の朝が普段と異なると考える理由は何ひとつなかった。いつもの平日のように、午前7時ジャストに鳴り響いた目覚まし時計の電子音で目覚めたタカシは、5分ほどまどろんだ後、いさぎよくベッドから起き出した。 手早く洗顔をすませると、玄関先のポストに新聞を取りに行く。もうすぐ6月

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    Barak
    Barak 2012/09/26