深センにあるフォックスコンの中国工場では自殺者が相次いで大騒動になり、30%の大幅な賃上げが実現した〔AFPBB News〕 人は時間を「前と後」に分けるのが好きだ。キリストが生まれる前と後、ベルリンの壁が崩壊する前と後、そして――筆者の個人的な好みでは――カップヌードルが生まれる前と後といった具合だ。我々は新しい境界線を越えたばかりかもしれない。フォックスコンの前と後だ。 大手電子機器受託製造(EMS)メーカーである台湾のフォックスコン(鴻海精密工業)が、中国南部にある広大な工場団地で次々と自殺者を出して、国際的なメディアの見出しを飾ってから6カ月になる。 退屈でつまらない生産ラインのほかに、商店やレストラン、寮がある城壁都市兼工場内では、実際にはよそより自殺率が低いとフォックスコンは指摘したが、賃金が安く、疎外された労働力を搾取していたという見方を払拭することはできなかった。 80万人