実家にいた頃、よく新聞紙を布団代わりにしていた。 …いや、早合点しないで最後まで聞いてほしい。別に布団が買えないほど貧しい家庭で育ったとか、そういう話じゃない。正しくは「新聞紙を被って寝るのが好きだった」だ。 居間でゴロンと横になって、傍らにある新聞紙に手を伸ばし全身に乗せる。そうするとあーら不思議、とても落ち着くのだ。インクの匂いも心地よく、思った以上に暖かい。なによりの利点は、その軽さだろう。 実家を出た今、あの心地よさを再び体験してみたいと思った。どうせやるなら家の中よりも外がいい。というわけで新聞紙を大量に抱え、いつもの河原へと向かった。 (text by 高瀬克子) つまり、こういうことです まず「新聞紙を布団代わりにする」というのがどういうことか、説明が必要かもしれない。 これまで、友人たちに「新聞紙って被ると気持ちいいよねぇ」と同意を求めても、いつもキョトンという顔をされてば