座談会という形式は、日本独特のものである。菊池寛が『文藝春秋』で始めたといわれ、しゃべるほうも文章を書くより楽だし、読むほうも流し読みできる。いわばテレビのバラエティショーみたいなものだ。これは従来はあくまでも雑誌の企画だったが、新書ブームになってから、座談会や対談、語り下ろしというのが増え、しかもそれがベストセラーになる。『バカの壁』も『国家の品格』も語り下ろしである。これは本が作品ではなく消耗品になってきたことを示すのだろう。 最近では、中沢新一・太田光『憲法九条を世界遺産に』(集英社新書)がベストセラーだが、これは今年のワースト3ぐらいに入る意味不明の本だ。今月も、手嶋龍一・佐藤優『インテリジェンス 武器なき戦争』(幻冬舎新書)、梅田望夫・平野啓一郎『ウェブ人間論』(新潮新書)というのが出た。それぞれ単独の著者としては悪くないのに、おしゃべりになると緊張感がなくなり、情報量が格段に