芥川龍之介 六の宮の姫君 :青空文庫 芥川龍之介の作品の中でも人気の高い短編『六の宮の姫君』については実に多くの感想や批評が語られているが、総じてヒロインの姫君に対してはネガティヴな見解がほとんどである。ご存じの通り、一見では「およそ意志や主体性に欠け他人への愛情や共感が希薄で、終始閉じた自分の世界に籠もり続け現実から逃避し続けた結果として野垂れ死にを迎える」というようなキャラクターに対して、現代の大半の読者ことに女性の側からはあまり好意的な印象は持てないし、あるいは我が身と重ね合わせて恐怖したり生き方を改めるための反面教師とするのだろう。事実、この姫君の人生を今風に例えれば「婚活も求職もせず引きこもってゲーム三昧に過ごしていたら両親も亡くなり高齢で手遅れになってホームレスになって孤独死」というような、むしろ現代にシビアに増えつつある事例に恐ろしいほど当てはまるのだ。むろん私にとっても決し