聖書(キリスト教)の物語を主題とした西洋絵画で食卓のシーンが描かれる場合、テーブルの上に並べられた食材や料理の中に「魚」が書きこまれることが少なくない。 レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」 クリスチャン以外の日本人には馴染みがないが、実は魚とキリスト教の結びつきには古くて長い歴史がある。一体どのような経緯で魚がキリスト教と関連づけられたのだろうか?その理由としては、当時ヨーロッパを支配していたローマ帝国の存在が大きく関係している。 ローマ帝国から迫害を受けていたキリスト教 ローマ帝国が皇帝ディオクレティアヌス(Diocletianus/244-311)の治世にあった頃、徐々に信者の数を増やしつつあったキリスト教は、警戒感を抱いた皇帝により抑圧・迫害され、ローマ帝国に対して公然と反抗した一部急進派が次々と処刑された。その数はローマ全土で数千人を数えたという。 迫害の時代の中、キリスト教徒