LGBT活動家は、「インクルージョン」とか「ダイバーシティ」とかと新奇なカタカナ語を多用している。恐らくは欧米コンプレックスの裏返しだろう。 そんなカタカナ語の一つに「アウティング」がある。つまりは、カミングアウトしたことを他人に漏らすことだ。 「アウティング」という言葉は、「一橋大学アウティング事件」によって知られるようになった。大学院生のゲイが同級生の男子に告白、しかし暴露されてしまい、命を絶った事件である。 二〇一六年――この事件が報じられたとき、私も小耳には挟んでいた。あのときは、DQNな学生がいたもんだなあ――とは思ったものだが。 しかし、LGBTの問題に関わるようになり、事件の詳細が私の知るものと違うことに気づいた。 発端は、二〇一五年の春のことである。 告白する以前から、死亡したゲイ(Aと仮称する)は、同級生の男子(Bと仮称する)に妙な態度を取っていた。旅行先や桜の写真をLI