→紀伊國屋書店で購入 今年六十になる友人知人を思い浮かべてみる。彼らについていちどは、この人は萩尾望都と同い年、と思ったものである。自分がまだ二十代の頃は、二十一年長の人はとてつもなく大人にみえたもので、その頃から萩尾望都は私のなかではこの世代の代表だった。こちらももう四十となれば、その年の差もさほど気にならなくなっていて、親しみをもって語り合える人もおり、そこでふたたび彼らは萩尾望都と同年、と思うとやはりそこにはある種の感慨がある。萩尾望都が漫画家となって、今年で四十年だという。 その、四十年を記念して、と帯にはあるが、本書は七十年代半ばから八十年代半ばにかけて書かれたエッセイをまとめた単行本の文庫化であって、そこにいるのは二十代後半から三十代後半の作家である。このたびの文庫化にあたっての「まえがき」には、若書きの文章に対するテレをさらりと書きつけている著者であるが、その、そっけないくら
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