日中戦争中の一九三七年一二月、当時八歳の夏淑琴さんの一家は南京城内の自宅で日本軍に襲われ、家族九人のうち七人が殺害された。夏さんは戦後、自身の体験を証言し続けたが、松村俊夫著『「南京虐殺」への大疑問』((株)展転社)の中で“ニセ被害者”扱いされた。夏さんは中国の裁判所に松村氏と展転社を提訴。二〇〇七年に被告らに約一〇〇〇万円の賠償を命じる判決が確定した。しかし被告らが応じないため、強制執行を求め東京地裁に提訴した。 日中間には、外国判決を執行する取り決めはない。しかし、原告側の渡辺春己弁護士は筆者に対し、「名誉毀損の法制度は両国でほとんど共通している。今回のケースは著しい人権侵害であり、強制執行は認められるべきだ」と語った。 原告側は中央大学法科大学院の奥田安弘教授(国際私法など)の意見書を提出済み。一一月九日には第二回口頭弁論が行なわれた。 同じ展転社から出版された東中野修道・亜細亜大学
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