防衛省が、有事の際に最前線で高度な医療行為を行える「第一線救命隊員」を新設する方針を固めたことが5日、分かった。離島防衛など危険性の高い任務を想定し、重傷を負った自衛官の救命率を向上させる狙いがある。防衛省は必要な教育制度や法改正の検討を急ぎ、平成29年度にも第一線救命隊員の育成に着手する見通しだ。 第一線救命隊員は、現状では医師免許を持つ医官しか行えない気管切開を伴う気道の確保(外科的気道確保)や、胸に針で穴を開けて水や空気を体外に出す処置(胸腔穿刺)などが行える。鎮痛剤や抗生剤の投与も認められる方向だ。 医官のいる後方の野外病院に搬送するまでに必要な救命治療を行えるようにすることで、自衛官の人命リスク低減につなげる。米軍では一部の衛生兵に気管切開などを認めた結果、イラク戦争やアフガニスタン戦争で兵士の死亡率が低下したというデータもある。 防衛省は、救急救命士と准看護師の両資格を持つ自衛