(英エコノミスト誌 2013年7月6日号) ムハンマド・モルシ氏は、確かに力不足だった。だが、モルシ氏の解任は、祝うべきことではなく、悔やむべきことだ。 大統領辞任を求める大規模デモにより、ムハンマド・モルシ氏は就任1年で追放されることになった〔AFPBB News〕 ムハンマド・モルシ氏がエジプトの大統領に選ばれた1年前、本誌(英エコノミスト)は警戒の目を向けていた。 自由民主主義を熱烈に支持する本誌は、モルシ氏が所属するムスリム同胞団の「政治は宗教に従属する」という信条を好ましく思わず、イスラム主義運動に浸透している女性や少数派に対する姿勢に徹底的に反感を抱いている。 本誌としては、エジプト革命を主導した世俗主義者たちが勝った方が望ましかった。だが、52%という得票率――その5カ月後にバラク・オバマ氏が得た得票率より高い数字――により、モルシ氏が国を統治する権利を獲得したことは認めてい