中国で7月23日発生した高速鉄道「和諧号」の追突事故は死者40人以上、負傷者200人の大惨事となった。亡くなった方の冥福と怪我で苦しむ方のできるだけ早い回復を祈ってやまない。 だが、考えてみれば、中国で数十人の死者が出る事故は決して珍しいことではない。高速鉄道事故発生前日の7月22日未明、河南省信陽市の京珠高速道路で発生した長距離寝台バスの炎上事故では41人が死亡した。原因は乗客の持ち込んだ易燃性化学製品の発火だ。炭鉱など1回に死傷数十人を出す労災事故は中国では今やニュースとしてさほど話題性が持続しないほどしばしば発生する。 高速鉄道事故の方が社会的に大ニュースとなったのは、まず「命の重さ」の差があるだろう。高い料金を払い時間を惜しんで高速鉄道に乗車する乗客は中産階級以上、あるいは外国人であり、夜行寝台バスで移動するのは庶民である。おそらく賠償金にして数倍の差があるはずだ。中国では社会的地