風がごうごうと吹いて、僕の住んでいた二階建ての長屋は、今にも倒れそうだった。それが台風について、もっとも古い記憶で、小学校の一年生くらいだったと思う。 今日は、台風3号がやってくるとのことで、市内の学校はぜんぶ臨時休校になった。僕は残念ながら、お休みにならなくて、いつも通りに会社へ来ている。 でも、こんな日に、お客さんなんて、来るワケもなくて、スマホを見ながら、ぼーっとしている。 台風の翌日は、カラッと晴れた良い天気になって、朝の濡れたアスファルトの道路を、パシャパシャ音を立てながら学校まで歩いた。 学校のおわった帰り道、桑畑の横を歩いていると、用水路の水が満杯になって流れていた。ふだんは、ちょろちょろしか流れていないのに、その日は、前日に降った大雨で、満杯になっていたんだよ。 僕は、その変貌に「ウッハー」っとなってしまって、水路の流れに大きな石を沈めたり、木の棒を浮かべてみたりした。 そ