東京電力の福島第一原発構内を視察する菅義偉首相/9月26日、福島県大熊町(c)朝日新聞社この記事の写真をすべて見る 国が隠し続けた原発事故の「真実」が、時が経つにつれてあぶり出されている。東日本大震災から来年で10年。司法が下した判決は、「国にも責任がある」だった。AERA 2020年10月12日号の記事を紹介する。 * * * 「事故は防げた、人災だった」 高裁が初めて、そう判断した。 東京電力福島第一原発の事故で、住民が国や東電に損害賠償を求めた集団訴訟は、全国で約30ある。これまでの判決で、国の責任を認めたのは7地裁、認めなかったのは6地裁と司法判断は割れていた。 9月30日、仙台高裁(上田哲裁判長)は、国が東電に津波対策をとらせなかったことは違法だと、明快に認めた。国の責任を示す事実が、少しずつ解明されてきたことが背景にある。 東日本大震災から遡ること約9年前、2002年8月1