最近、P・レヴィ『ヴァーチャルとは何か?』(2006,昭和堂)を読み返している。 セールの「準=客体」を理解するうえでも分かりやすい箇所があったので、その辺りについて少し。 レヴィが読者をいざなうように「まず、観客席から湧き上がる音を聞いてみよう」(p.159)。 同じチームのサポーターたちはほとんど全員一斉に、同じ時に同じことを叫ぶ。個々人の行為はほとんど区別できず、物語や記憶を成すような絡み合いに達することはなく、不可逆的な分岐に行き着くことはない。(p.159) さらに、レヴィは読者の視点を「今度はグランドの上を見てみよう」(p.159)と誘う。 各々のプレーヤーは、他のプレーヤーとは、はっきりと区別される行動を果たしている。しかしながら、全ての行動は協調を目指していて、呼応し合おうと試み、他のプレーヤーとの関係によって一人一人が意味を成そうとしている。プレーヤーたちの諸行動は、サポ