既に書いたように 一石というのは一人の人間が一年(三百六十日)に食べる米の量を基準にして定めた単位 という説は事典類で確認することはできなかった。そのようなものを井沢氏は「予備知識」として提示しているのである。 この部分をもう少し長く引用する。 たとえば「唯物史観」の側の学者はよく「江戸時代の農民は自分が作った米を武士階級に取り上げられ、アワやヒエのような雑穀しか口にできなかっった」と主張する。 これ、実は、まったくのデタラメなのである。 そう言われても納得しない人が多いだろう・ このことは「常識」として教えられ、われわれの頭の中に刷り込まれているからだ。 しかし、これがデタラメであることは、論理的にきちんと証明できるのである。 証明したのは残念ながら私ではない。物理学者で理学博士の板倉聖宣氏である。 板倉氏の論証は「歴史の見方考え方」(仮説社)に詳しく述べられているが、それを紹介する前に