【書評】120万人の孤独な死:大内啓、井上理津子著『医療現場は地獄の戦場だった!』 Books 健康・医療 社会 2021.02.12 新型コロナウイルスのニュースで、「医療現場のひっ迫」という言葉が頻繁に聞かれるようになった。日本より早くその状況が訪れたアメリカでは、現場の医師は何を見て、感じたのか。その揺れる感情が伝える、このウイルスの恐ろしさとは――。 本書は、アメリカ・ボストン在住の日本人医師による、新型コロナウイルスとの戦いの記録だ。 アメリカ国内で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されたのは、2020年1月21日。西海岸のシアトル近郊だった。 著者が住む東海岸のマサチューセッツ州でも、その後まもなく中国から帰国した学生の感染が明らかになる。その時には「アジアの話」と”対岸の火事“だったものが、2月下旬には一気に感染が住民に拡大し、状況は一変する。 3月には、ボストン市内の病