WTOは2月23日、「ウクライナ戦争の1年:世界貿易・開発への影響評価」と題する報告書を発表した。同報告書によると、ロシアのウクライナ侵攻当初に予測された悲観的なシナリオを翻して、世界の貿易は高いレジリエンス〔強靭(きょうじん)性〕を発揮した。チーフエコノミストのラルフ・オサ氏は「世界貿易は、ウクライナ戦争に直面しながらも、よく持ちこたえた。戦争開始時に予測された最悪の事態は起きていない」と指摘、多国間貿易システムの開放性や各国政府の協力によって、価格上昇や供給不足が抑制された点を評価した。 WTOは2021年10月、2022年の物品貿易の前年比伸び率を4.7%と予測していたが、ロシアによるウクライナ侵攻後の2022年4月に、2.4~3.0%(最も悲観的なシナリオでは0.5%)へ引き下げた。しかし、実際の貿易が予測を上回る勢いで拡大したことから、2022年10月には3.5%へ再び上方修正を