ふしぎな人です。淡々として、人とのかかわり方も、さっぱりと。感情や憶測の言葉を並べることはほとんどなくて(たとえ怒っているときでも)、語るのは彼にとっての事実だけ。社交辞令やいわゆる「空気読む」な面が全然ない。 行く先々でたくさんの人と出会い、たくさんの人から語りかけられたラオーニだったが、とはいっても、誰に対しても同じようにさっぱりしていたかというと、そうでもなかった。彼にとっての好もしい人、というのはあったように見受けられた。 好もしさは、その人が饒舌か無口かや、人懐っこいか人見知りかや、そういうことにはあまり関係がないみたいだ。話の中身が有益かどうかも、そんなには重要な要素でなかったように思う。そしてラオーニにとっては、その人の肩書きが何なのかは全く意味を為さないもので。 なんというか、その人の奥にある“素”の部分というか“純”な部分が伝わってくるような、そんなときには、ラオーニも心