提起された問題に対して第三者がどのような態度を取るべきかについては、いろいろ難しい論点があるのは確かである。従軍慰安婦問題を問題化しようとする人たちの行動の多くについて、僕は惜しみなく支持を送りたいと思うが、それを慎重さを欠いた無思慮な態度、反対する人たちの意見に耳を傾けない意固地な態度として批判したがる人たちもいるだろう。僕は僕なりに覚悟を持ってこうした態度をとっているし、当然、それなりに理由のあることだとも思っている。 従軍慰安婦問題のような心的外傷をもたらす事件において、私たちがその問題の真偽について考えたいとき、どのような文脈を想定しておかねばならないのか。かなり長くなるが、ジュディス・L・ハーマン『心的外傷と回復』から引用する。(ただし、ハーマンが想定している外傷的経験は、女性の受ける暴力(家庭内暴力、性暴力)の他に、兵士が戦場で受ける経験も含まれるので、その点はご注意を。) 中