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ブックマーク / book.asahi.com (12)

  • 鴻巣友季子の文学潮流(第5回) 映画「バービー」は日本でうけてる? 「死」と「不安」のダブルミーニングを読み解く|好書好日

    自分ツッコミにあふれた世界 グレタ・ガーウィグ監督、マーゴット・ロビー主演の映画「バービー」(マテル・フィルムズ制作)が日でも公開された。玩具メーカー・マテル社が1959年から販売してきたドールを実写化した映画で、バービーたちが暮らすバービーランドには明るいピンクの街並みが広がり、おしゃれな装いの有能な女性たちが闊歩する。しかしその表層的意匠とは裏腹に、生きること死ぬことの意味をめぐり実存主義的な問いかけをも擁した作品だ。 「世界的大ヒット」と銘打たれているが、日の興行成績はそこまでではなさそうだ。まず、原爆の父を描いた映画「オッペンハイマー」と「バービー」をかけ合わせた、きのこ雲を使ったコラージュ画像に米国公式アカウントが好意的なリプライを付けたことがイメージダウンにいくらか荷担した感は否めないのだが、コメディ映画なのにゲラゲラ笑って観ている人が少ないのではないか? 私は東京近県のシ

    鴻巣友季子の文学潮流(第5回) 映画「バービー」は日本でうけてる? 「死」と「不安」のダブルミーニングを読み解く|好書好日
    feather303
    feather303 2023/09/07
    “映画のなかでバービー自身が「あなた、ビンボーで金儲けしてる人?」と揶揄される場面もあるが、bimboとは「男うけを狙う頭からっぽの女」といった意味。”
  • 「猿まわし 被差別の民俗学」書評 あがめられ差別された祈る人々|好書好日

    猿まわし 被差別の民俗学 [著]筒井功 人と猿の関係を解く書物は今までにもあった。猿とは何かを民俗学的に解説する書物も存在する。むろん、芸能民としての猿まわしや猿引きについても、民俗芸能のテーマとして、あるいは差別の問題として書かれてきた。 書がそれらと何が異なるかというと、一つは猿まわしが担ってきた「隠密」、つまりスパイとしての役割をはっきり書いたことである。そしてもうひとつは、猿まわしが牛馬の祈祷(きとう)に特化したシャーマンであったことを、明らかにしたことである。 江戸時代の浅草には、弾左衛門(だんざえもん)屋敷を中心とする特別な町があった。ここには死牛馬の皮を扱う職人を中心に、木綿を売る店、質屋、湯屋、髪結い、公事宿(くじやど)などがあり、猿飼の家も十数軒あったという。 しかしそれは猿が芸を見せてお金をもらう芸人とは異なる役割をもっていた。将軍家、御三家、旗、大名屋敷などに出向

    「猿まわし 被差別の民俗学」書評 あがめられ差別された祈る人々|好書好日
    feather303
    feather303 2023/05/26
    “猿が芸を見せてお金をもらう芸人とは異なる役割をもっていた。将軍家、御三家、旗本、大名屋敷などに出向いて、そこの厩をお祓いし、猿舞を見せるのである。つまり馬の無事と健康を祈る祈祷者としての猿なのだ。”
  • 「学校の問題」に現役教員は何を感じているのか? 『学校するからだ』矢野利裕×『在日韓国人になる』林晟一の

    記事:晶文社 【左】矢野利裕さん/【右】林晟一さん 書籍情報はこちら 「ブラック校則」が語られるとき、こぼれおちるもの ――『学校するからだ』『在日韓国人になる』には、学校にまつわるエピソードや思索が折り込まれています。お二人は現在同じ学校に勤務されていますね。今日は教員として学校をめぐる問題をどう見ているか、お話しいただければと思います。 矢野 最初に読者のみなさんに向けて自己紹介を。僕はもともと教員志望で、文学部の日文学科に進学して教員免許を取りました。と同時に、大学でカルチャーや評論の面白さに目覚めて、ふたつの興味をあわせる形でライターとして仕事をするようにもなっていました。紆余曲折あって志望通り国語科の教員になって、今は講師時代を含めると15年目ですかね。同時に、今もライターとして評論を書くことがあります。 林 僕は政治学科出身で、学部時代には教員免許を取りませんでした。教職に絶

    「学校の問題」に現役教員は何を感じているのか? 『学校するからだ』矢野利裕×『在日韓国人になる』林晟一の
  • あいまいな「反戦の美術」、その難しさと面白さ ――岡田温司著『反戦と西洋美術』書評(評者:山本浩貴)|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 アンリ・ルソー《戦争》 書籍情報はこちら 過去につくられた「反戦の美術」の現代的可能性を探究する 還暦を過ぎてなお驚くほど旺盛な著述・翻訳活動を展開する美術史家・岡田温司の新著『反戦と西洋美術』は、主に17世紀から現代までの西洋諸国で制作された絵画・版画・写真を中心に――それらのメディウムの違いにも留意しつつ――彼が「反戦の美術」と考える芸術について論じた書だ。言わずもがな2022年に開始されもうすぐ一年を迎えんとするロシアウクライナ侵攻はじめ、人間同士の殺し合いを伴う争いは今も世界中で多発する。そのような現状で戦争の悲惨さを伝え、その廃絶を訴えた美術作品を再考する同書の意義に異を唱える者は少ないだろう。それは過去につくられた「反戦の美術」の現代的可能性を探究することに他ならないからだ。 ポール・ナッシュ《死の海》 だが可能性と同時に、このは「反戦の美術」を考えるうえで

    あいまいな「反戦の美術」、その難しさと面白さ ――岡田温司著『反戦と西洋美術』書評(評者:山本浩貴)|じんぶん堂
    feather303
    feather303 2023/04/18
    “戦争の悲惨さと残酷さをアピールするように見えて、場合によっては、むしろ敵対心を煽るという逆の効果を引き起こすことも考えられるのである”
  • 「神憑り軍人」たちは何を信じたか 藤巻一保さん「戦争とオカルティズム」インタビュー|好書好日

    藤巻一保さん=撮影・北原千恵美 藤巻一保(ふじまき・かずほ)作家・宗教研究家 1952年、北海道生まれ。中央大学文学部卒。編集者を経て著述活動に入る。東洋の神秘思想、近代新宗教に関する著作を数多く手がけている。主な著書に『密教仏神印明・象徴大全』『役小角読』『秘説 陰陽道』『愛と呪法の博物誌』『偽史の帝国 “天皇の日”はいかにして創られたか』など。 異常な時代の正体を明らかにしたかった ――藤巻さんの『戦争とオカルティズム 現人神天皇と神憑り軍人』は、陰謀論や超古代史などのオカルトに魅了された旧日軍の軍人たちを通して、日を〈聖戦〉へと導いたイデオロギーに迫った異色の戦争裏面史です。執筆のきっかけを教えてください。 若い頃から秘教的な世界に興味があって、長年その分野のを書いたり編集したりしてきましたが、一方で日は神の国であるという信仰に支えられた明治から昭和までの日についてもず

    「神憑り軍人」たちは何を信じたか 藤巻一保さん「戦争とオカルティズム」インタビュー|好書好日
  • BTSはビートルズかもしれない 「アメリカ音楽の新しい地図」大和田俊之さんインタビュー|好書好日

    大和田俊之さん 大和田俊之(おおわだ・としゆき) 慶應義塾大学法学部教授。専門はアメリカ文学、ポピュラー音楽研究。『アメリカ音楽史——ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで』(講談社)で第33回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)受賞。長谷川町蔵との共著に『文化系のためのヒップホップ入門』(アルテスパブリッシング)。最新刊は『アメリカ音楽の新しい地図』(筑摩書房)。 それは文化の盗用じゃないか? ――『アメリカ音楽の新しい地図』では、2010年代のポピュラー音楽からアメリカ社会を分析されていますが、書を読んでその複雑さを改めて痛感させられました。 僕は2011年に出した『アメリカ音楽史』で、“アメリカのあらゆる音楽――とりわけアフリカアメリカ人の音楽がヒスパニックの貢献を強調する歴史に書き換えられていくはずだ”と予想しました。実際アメリカのヒスパニック人口は増えた。2016年

    BTSはビートルズかもしれない 「アメリカ音楽の新しい地図」大和田俊之さんインタビュー|好書好日
    feather303
    feather303 2022/02/05
    “僕はサブスクリプションのストリーミング配信が定着したことは、アメリカの音楽史を100年単位で考えた時、音楽へのアクセスという点でラジオと同じくらいのインパクトがあると考えています”
  • 「民衆暴力」書評 仁政なき世に人々の怒りどこへ|好書好日

    民衆暴力 一揆・暴動・虐殺の日近代 (中公新書) 著者:藤野裕子 出版社:中央公論新社 ジャンル:新書・選書・ブックレット 民衆暴力 一揆・暴動・虐殺の日近代 [著]藤野裕子 暴力はいけない、それは間違いない。ただ、それだけでいいのか。過去に民衆がふるった暴力を、安易に正当化するのでも、あるいは単に否定するのでもなく、まずは理解し、その上で暴力とは何かを考えようとするのが書である。江戸の百姓一揆を助走に、新政反対一揆、秩父事件、日比谷焼き打ち事件、関東大震災時の朝鮮人虐殺の四つの事件について、最新の研究の知見をもとに詳細な検討が加えられる。 江戸の百姓一揆はやみくもに暴力をふるうものではなかった。訴願を聞き入れられるよう一定の作法があり、領主の側にも百姓の生業を維持する仁政イデオロギーがあった。やがて商品経済が発達する中、作法を逸脱する一揆も出てきたが、明治維新後に起きた新政反対一揆

    「民衆暴力」書評 仁政なき世に人々の怒りどこへ|好書好日
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    feather303 2021/03/21
    “日常生活で抑圧された人々が、その怒りを自らを抑圧するものでなく、むしろより弱く、自ら差別する対象を痛めつけることへと向ける悲劇を、本書は描き出す。”
  • アニメの少年、女性が演じるのはなぜ? 「アニメと声優のメディア史」石田美紀さんインタビュー|好書好日

    文:安達麻里子 写真は石田美紀さん提供 石田美紀(いしだ・みのり)新潟大学経済科学部教授(視聴覚文化論) 1972年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。実写映画研究を経てアニメーション・メディアの研究を行う。著書に『密やかな教育――<やおい・ボーイズラブ>前史』(洛北出版)など。 きっかけは「銀河鉄道999」の鉄郎 子どもの頃に見た「機動戦士ガンダム」のキャラクター、マ・クベの冷気を含んだ独特な声がきっかけとなって、キャラクターの「声」を意識し始めたという石田さん。その後、「銀河鉄道999」の主人公、鉄郎の声を女性(野沢雅子さん)が演じていると知って衝撃を受け、それ以来、声優の声が持つ不可思議さに魅了され続けている。 「私は1972年生まれで、アニメを見て育ってきた世代。女性声優が少年キャラクターを演じている例は、最初は驚いたものの当にいっぱいあって、そういう環境に馴染

    アニメの少年、女性が演じるのはなぜ? 「アニメと声優のメディア史」石田美紀さんインタビュー|好書好日
  • 書評・最新書評 : 神と肉―日本の動物供犠 [著]原田信男 - 三浦しをん(作家) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■米の豊作を願い捧げられた命 肉が好きだ。しかし、日では明治になるまで、ほぼ肉はしなかったと聞いたことがあり、「すみません、動物をばくばくべちゃって」と少々うしろめたく思っていた。 だが書によると、日人は縄文時代からずっと、肉をべてきたのである。「これを持っていれば、肉をべても許される!」という、諏訪大社が発行するお札(ふだ)(「鹿免(かじきめん)」)まで存在した。やっぱりなあ、肉はおいしいもん。抜け道を探してでも、べたいものです。 ではどうして、表立って肉をべにくい風潮があったのかというと、飛鳥時代から国家が殺生と肉を禁じてきたからだ(ただし、当初は猪〈いのしし〉や鹿などの野獣をべるのは許されていた)。禁令が出た背景には仏教思想もあるようだが、一番の要因は、米を安定的に生産するためだった。稲は栽培が難しく、豊作を目指して、さまざまなタブーが人々に科された。「動物を

    書評・最新書評 : 神と肉―日本の動物供犠 [著]原田信男 - 三浦しをん(作家) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
    feather303
    feather303 2014/06/18
    "一番の要因は、米を安定的に生産するためだった。稲は栽培が難しく、豊作を目指して、さまざまなタブーが人々に科された。「動物を殺生したから、米が不作になったのだ」という理屈で、肉食は禁じられていった。"
  • http://book.asahi.com/ebook/master/2014013000004.html

    http://book.asahi.com/ebook/master/2014013000004.html
    feather303
    feather303 2014/02/01
    (第二次大戦から7年たっても)"日系ブラジル人の8割が「日本が戦争に勝った」と信じていたのである。:「負けた」という事実を主張する少数者の組と「勝ち」に固執する組とが分かれ、流血の喧嘩が繰り返されていた。"
  • 「忘却のしかた、記憶のしかた」書評 日本学者として日、米、世界見直す|好書好日

    忘却のしかた、記憶のしかた 日アメリカ戦争 著者:ジョン・W.ダワー 出版社:岩波書店 ジャンル:歴史・地理・民俗 忘却のしかた、記憶のしかた―日アメリカ戦争 [著]ジョン・W・ダワー 書は、著者の主要な仕事のエッセンスを、自身による解題を付して、年代順に配列したものである。「ダワー入門」と呼んでもよいだ。内容的にいえば、マッカーシズムの時期に自殺に追い込まれたカナダの日学者E・H・ノーマンについての論考から始まり、イラク戦争に際して米国当局が、かつて“成功”した日占領の体験をモデルにしようとしたことに対する痛烈な批判にいたる。 著者の『敗北を抱きしめて』は、占領下の日社会について包括的に書かれた最良の書である。このは米国でピュリツァー賞を受けたが、イラク戦争で日占領経験を引き合いに出した当局がこれを読んだはずがない。著者の考えでは、イラクは日と似ていない。むし

    「忘却のしかた、記憶のしかた」書評 日本学者として日、米、世界見直す|好書好日
    feather303
    feather303 2013/10/03
    "本書では、日本を見ることが直ちに米国を、そして世界を見直すことになる。このような日本学者は数少ない。"
  • 「ミシンと日本の近代」書評 小さなモノに光、大きな歴史照射|好書好日

    ミシンと日の近代―消費者の創出 [著]アンドルー・ゴードン [訳]大島かおり 米国の「知日派」というと、最近は外交・安全保障の専門家のみ注目されがちだが、著者は歴史研究における筆頭的存在だ。 ある日、彼は、ふと1950年代の日の既婚女性が毎日2時間以上も裁縫に費やしていた事実を知り驚愕(きょうがく)する。それが今回の知的探究の出発点となった。 ふつうの日家庭に入った最初のミシンはジョン万次郎が母親へ贈ったもの。シューイングマシネ(縫道具)がマシネと略され、さらに2音節に縮まって「ミシン」となった。 その出現は〈洋裁〉と〈和裁〉という新語を生み、キモノを〈洋服〉に対する〈和服〉とし、〈日〉と〈西洋〉が対峙(たいじ)する独特の世界観を固着化した。 とりわけ「世界初の成功した多国籍企業」と称される米シンガー社の家庭用ミシンは10年代までに日でも無敵の存在となった。それはまた「セールスマ

    「ミシンと日本の近代」書評 小さなモノに光、大きな歴史照射|好書好日
    feather303
    feather303 2013/08/22
    **とりわけ「世界初の成功した多国籍企業」と称される米シンガー社の家庭用ミシンは10年代までに日本でも無敵の存在となった。** / NHK朝ドラ『カーネーション』ではスティンガー社に名前が変更されてたなぁ。
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