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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (167)

  • ケインズの時代が終わり、マルクスの時代が始まる

    原油価格は1バレル50ドルを切り、2009年以来の水準になった。昨年11月のコアCPI(生鮮品を除く消費者物価)上昇率は年率0.7%に下がったが、今年中にはCPI上昇率はゼロになるだろう。日銀の大規模な量的緩和で上がらなかった物価が、原油安で下がったのは皮肉である。 黒田総裁の当のねらいは円安にあったと思われるが、これも裏目に出た。昨年の貿易赤字は史上最大になり、せっかくの原油安も、ドル高で半分ぐらい帳消しにしてしまった。黒田氏の信じている一国ケインズ主義は、もう終わったのだ。 ケインズ理論では、通貨供給で物価水準を動かし、為替レートで経常収支が動かせることになっているが、グローバル化した世界ではこういうコントロールはきかない。資がネットワークで世界を移動するからだ。資収益率も金利も、新興国との競争で世界的に低下している。日銀の力だけで「デフレ脱却」はできないのだ。 これは大きくい

  • 大学入試改革を成功させる「3つの鍵」とは?

    大学入試センター試験を廃止して「大学入学希望者学力評価テスト」を年複数回実施し、各大学の個別入試も筆記の点数だけではなく、面接や小論文、集団討論などを活用して選抜するよう求める答申を、中央教育審議会が行いました。 この改革については「知識偏重型」から、思考力や判断力を多面的に評価する「知識活用型」への移行を目指すのが目標だとされています。早速色々な批判が出ているようですが、確かにこれは大きな改革になると思います。 明治維新以来、現代に至るまで入学試験の選抜に関しては、静的な知識の記憶力と単純なパズル解読のスキルだけで終始し、「質的な意味はない客観性」が重視されてきました。 その代わり、知識の「活用」、つまり抽象的な思考力に関しては主として学生個々人の反骨精神に期待するという教育がされてきたわけです。戦前は自由民権、キリスト教理想主義、社会主義、自由主義、そして戦後は安保反対から全共闘そし

    大学入試改革を成功させる「3つの鍵」とは?
  • 景気後退でも与党が圧勝する日本の構造問題

    戦後最低の52・66%という投票率については、要するに「政権交代の可能な二大政党制」が崩壊している中での「小選挙区制」への不信任だという理解が正しいと思います。別に政治全体への不信があるわけでもないし、民主主義への不信感がエスカレートして賢人政治や独裁政治への待望論があるわけではありません。 ですから、とにかく「自分の納得するチョイスがなかった」というのが正しいのだと思います。 それ以前の問題として、現在の日の景気は決して良くないという事実があります。2014年の4~6月期が前年比GDPでマイナス7・3%(通年換算)、これは消費税率アップ前の「駆け込み需要の反動」だとしても、7~9月期もGDPが前年比でマイナス1・9%となりショックが走りました。 海外では「日はリセッション(景気後退)」に入ったという見方が多いですし、またそのために選挙翌日の東京株の下落も「理解」されたのですが、では、

    景気後退でも与党が圧勝する日本の構造問題
  • スパイ組織CIAが陥った「腐敗」

    今月9日に米上院情報特別委員会が公表した、ブッシュ政権下のCIAにおける「拷問」問題のレポートは、1つの時代の終わりを告げるものだと言えます。それは、「ポスト9・11」という言い方で「テロを防止するためには手段を選ばない」という姿勢を掲げた、いわゆる「対テロ戦争」の時代の終わりです。 大統領選を通じて「チェンジ」つまり改革を訴えてきたオバマ大統領ですが、この「対テロ戦争の時代を終わらせる」というテーマについては、とりあえず実現を見たと言っていいでしょう。つまり「グアンタナモにおけるテロ容疑者の超法規的収容」を終わらせること、そしてブッシュ政権以来のアメリカの「暗部」と言って良い「CIAによる拷問」問題を白日のもとに晒すこと、この2つはようやく達成されたと言えます。 当は、この2つに加えて「NSA(国家安全保障局)による国内外の電子メールや通話の全面的な盗聴行為」に関しても、自身の手で終わ

    スパイ組織CIAが陥った「腐敗」
  • アメリカで人気の反フェイスブックSNS「エロー(ello)」の実力

    アンチ・フェイスブックのソーシャル・ネットワーク・サービス「エロー(ello)」が話題を呼んでいる。 エローは、もともと何人かのエンジニアやデザイナーたちの内輪のネットワークとして作られたのだが、その噂を聞いた人々からの利用希望が増えたため一般バージョンを発表。それが今春のことだった。 注目がピークを迎えたのは今年9月。フェイスブックが実名ポリシーを押し付けたことによって、ドラッグクイーンやミュージシャンら偽名や芸名を使っていた数100のユーザーのアカウントが閉鎖された時だ。 偽名を使うのは身の安全を護るためと主張するゲイなどLGBT(性的少数者)コミュニティーが抗議運動を起こしたが、当初フェイスブックは「サイバーいじめは実名の方が起こりにくい」と反論(その後、実名ポリシーは変更)。それがLGBTコミュニティーだけでなく広く世間一般のフェイスブックに対する反感を煽る形になり、エローへの注目

  • 奥田君インタビューはそんなにひどくない

    ニュージーランド地震で足を切断しながら生還した奥田建人君へのフジテレビ「とくダネ!」のインタビューがひどいという批判がツイッターやネットで広がっている。まだ見ていない人は、実際に映像を見て欲しい。 そんなにひどいだろうか? インタビュアーがむりやり言葉を引き出そうとしているわけでもないし、足を切断したという相手の状況にそれなりに配慮した聞き方をしている。プロの記者が奥田君に話を聞いて「足切断」について聞かないことはありえない。 おそらく初出と見られる朝日新聞2月23日付夕刊の五十嵐大介記者の記事も、奥田君が足を切断した事実について触れている。足切断の事実と、「仲間がどんどん下に落ちていった」という表現があってはじめて、今回の地震の被害の大きさと、今後議論になるだろうニュージーランドの建造物の耐震構造問題の深刻さが読者に伝わる。繰り返すが「かわいそうだから聞かない」というのは、職業人としての

  • 対クルド攻撃を優先させるトルコ

    イスラーム国を「殲滅する」と宣言して、シリア空爆を始めたオバマ大統領だが、米国の頭を悩ませているのはイスラーム国だけではない。対イスラーム国で協力を仰ぐべきシリア周辺国が、ちっとも米国の期待通りの行動をとってくれないことだ。 9月17日、イスラーム国は、トルコとの国境にあるシリアのクルド人の街、コバーニー(アラビア語でアイン・アルアラブ)に対する攻勢を強め、シリアのクルド準軍事組織、YPG(クルド人民防衛隊) と激しい戦闘を展開した。イスラーム教徒スンナ派であるクルド人を「イスラームではない」と異教徒視するイスラーム国を前に、コバーニーのクルド人たちは戦々恐々、救援を求める。彼らが逃げ延びる先は、隣接するトルコしかない。米政府もまた、トルコ政府に対して、イスラーム国退治のためにトルコの軍事基地を使わせろ、との要求を強めた。 しかし、トルコ政府の反応は、その期待に沿うものでなかった。コバーニ

  • 適切だったJR西日本の「早期運休判断」

    台風19号の上陸に備えて、JR西日が早急に運休を決定したことに対して賛否両論があるようです。具体的には13日の午後から順次運転数を減らし、午後4時以降は京阪神の全線で運休をしたのですが、この方針を「13日のお出かけは控えてください」と「前日の12日に予告」して呼びかけた、確かにこれは日ではあまり前例のない対応でした。 この問題を評価するには、具体的な過去の経緯を考えておいたほうが良いと思います。5点掲げておきます。 1つ目は、国鉄民営化直前の1986年12月に、山陰線にある有名な余部鉄橋(兵庫県美方郡香美町)で発生した事故の問題です。この事故ですが、鉄橋を通過中の客車が最大風速33メートル(m/s)の突風にあおられ、機関車以外の客車の全車両が台車の一部を残して転落するという惨事となりました。 転落した客車は橋梁の下にあった工場と民家を直撃し、亡くなった車掌を含めて6名の死者を出すと

    適切だったJR西日本の「早期運休判断」
  • 愛国歴史教育に対する「米高校生の異議申し立て」が勝利した日

    最近の各国の保守主義の運動には「自国の歴史に誇りを持てるような教育」へと、歴史教育を改変するという志向があります。アメリカも例外ではありません。例えばブッシュ時代の「草の根保守」の復権を契機として、ハッキリとそうした運動が立ち上がっています。 そのリーダー格といえば、リン・チェイニー氏です。チェイニー前副大統領の夫人ですが、歴史家というより文学者という立場で「愛国歴史教育」を推進していたのです。 チェイニー氏はまず「建国の歴史」に関して「トーマス・ジェファーソンの理想主義とか、権力への牽制」といったエピソードではなく、「独立戦争の苦しい戦いを勝利に導いたワシントンの勇気」を前面に出して教えよとか、ベトナムや公民権の話ばかり教えるのはバランスを欠くなどという主張を「運動」にしたのです。 更にチェイニー氏の前にフランシス・フィッツジェラルドというジャーナリストは79年に出した『アメリカ史の改善

    愛国歴史教育に対する「米高校生の異議申し立て」が勝利した日
  • アメリカの皮を剥いだロバート・フランク

    ニューヨークのメトロポリタン美術館は、何トンもの財宝を腹に抱えてよく肥えた王様のように5番街に君臨している。 芸術世界の分岐点の染みのような存在である写真家ロバート・フランク(85)の作品を展示するには、風変わりな場所だ。ロダンのブロンズ像やモネの絵画を過ぎ角を曲がったところに、「光沢のない」アメリカを写したフィルムのベタ焼が掲げられている。 「ルッキング・イン:ロバート・フランクの『アメリカ人』」(2010年1月3日まで開催中)の世界にようこそ。 「パレード」 ホーボーケン、ニュージャージー(1955年) アメリカ小説家ジャック・ケルアック(ビートジェネレーションの王様と呼ばれた)に言わせれば、外国人のフランクは「アメリカの中心から悲しい一編の詩を吸い上げた」。ケルアックほど「イカして」いない者たちは、彼の作品を「無意味で、酩酊していて雑」と嘲笑した。何にせよフランクは、アメリカで1万

    アメリカの皮を剥いだロバート・フランク
  • アメリカの家の前にはなぜ芝生があるのか? | やじうまUSAウォッチ | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    アメリカの郊外住宅地のアーキタイプ、レヴィッタウン 「Get off my lawn(わしの芝生から立ち退け)!」 映画『グラン・トリノ』で、ライフルを構えたクリント・イーストウッドがチンピラたちに怒鳴った時、アメリカ映画館では爆笑が起こった。 なんで? アメリカ人に聞いてみると、あのセリフは頑固ジジイが庭に入って来た近所の悪ガキを叱る時の常套句だそうだ。昔、日にもいたでしょ。子供嫌いのジイさん。野球のボールがそのジイさんの庭に落ちたりすると怖くて入れないわけ。 でも、アメリカの場合、芝生にはもっと重要な意味がある。アメリカン・ドリームの象徴なのだ。 自分が生まれて初めて芝生を持ったのは2007年。住宅バブルのピークで家を買ったのだから大馬鹿だったが、それは置いといて、感慨深かったのは、前庭の芝生に立った時だ。 アメリカ映画テレビで観た一戸建てには必ず前庭に芝生がついていた。わずか1

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  • 大学の国際化を「スーパー」にするための2つの条件とは?

    最初にお断りしておきますが、私は大学教育の改革は待ったなしの課題だと思います。 国際化、能力別指導、機会均等など、現在の教育に欠落している部分を、制度として、また指導法のメソッドとして構築することは急がなくてはなりません。 しかし現在の日では、こうした問題に関して、論争が深刻な「ねじれ」の状態にあります。つまり国際協調的なリベラルの側は改革に対して抵抗勢力であって、改革に熱心な側は下手をすると日を孤立に追い込むような保守カルチャーを背景にしているというわけです。これこそ「ねじれ」であって、大変に困った状況だと思います。 私は国際協調主義かつ改革を志向すべきと思うので、かなり孤立した立場になります。ですが、改革がここまで遅れている以上は、とにかく実務的には改革の動きを支持し、その一方で国際協調主義は守るという立場を取りたいと思います。 ですから、以下の提言は「安倍教育改革」なり下村大臣率

    大学の国際化を「スーパー」にするための2つの条件とは?
  • 朝日「誤報」で日本が「誤解」されたという誤解

    いわゆる「従軍慰安婦」問題をめぐる証言記事に関して朝日新聞が誤りを認め、取り消したことに関連して、あらためてこの「従軍慰安婦」の議論が盛んになっています。その議論の多くは「誤報」、つまり「狭義の強制」があったと報道されたことで、「国際社会の誤解」を招いた朝日新聞には責任があるという考え方です。 例えば安倍首相は9月14日のNHKの番組で、朝日新聞が「世界に向かってしっかりと取り消していくことが求められている」と述べたそうですし、加藤勝信官房副長官も17日の記者会見で、「誤報に基づく影響の解消に努力してほしい」と述べています。 また朝日新聞の訂正直後に実施された、読売新聞の世論調査によれば、『朝日新聞の過去の記事が、国際社会における日の評価に「悪い影響を与えた」と思う人が71%に達した』そうです。 しかし、こうした「国際社会に誤解されている」という議論は、それ自体が「誤解」であると考えるべ

    朝日「誤報」で日本が「誤解」されたという誤解
  • スコットランド住民投票の意外な意味

    スコットランド独立の是非を問う住民投票が、9月18日に行われる。僕が心配していたとおり、結果はほんのわずかの差で決まることになりそうだ。 イギリスからのスコットランドの分離独立は、わずか数千票の差で決まる可能性がある。これは極めて重大な決断で、「次の選挙」で現政権にノーを突きつけて簡単に覆せるようなものではない。賛成が過半数を占めさえすれば、たとえ反対票が49%に上っても分離独立できるなんて信じがたいことだが、今回の住民投票ではそれがあり得るのだ。そこまでの僅差だと、独立について住民の「明らかな信認を得た」とはとても言えない。独立に反対した人々にとっては受け入れがたいはずだ。 独立「イエス」派のかなりの人々は、現イギリス政府を支配する保守党政権に反発を抱いているから独立を求めている、という部分が少なからずある。正確に言うならこれはスコットランド独立のための投票というより、「イングランド人有

    スコットランド住民投票の意外な意味
  • セレブはヌード写真を撮ってクラウドに保存するのか?

    アップルのクラウドサービスiCloudからセレブのヌード写真が流出した事件は、インターネット・ユーザーにとっては大きな学習機会である。他人事と傍観するのも一手だが、この騒ぎにどんな要素が含まれているのか、ちょっと考えてみよう。 まず、セレブらはこんな写真を撮って保存しているのだなあ、という単純な発見。「そんな脇の甘いことをしているから、こうなるのよ」という声もかなりあるらしいが、実際スマートフォンでヌード写真を送受信する人々はどんどん増えているそうだ。 インターネット時代に関連した調査で定評のあるピュー・リサーチセンターによると、スマートフォン・ユーザーのうち、自分のヌード写真を誰かに送ったことのある人は9%(2013年5月の数字)で、これは1年前に比べて3%の増加。また受け取ったことのある人は20%で、こちらは5%の増加という。3%は受け取ったヌード写真をさらに別の人に転送するという(そ

  • 英語を学べば学ぶほど「自分が小さく見える」?

    今月出版した『アイビーリーグの入り方』(阪急コミュニケーションズ刊)には、おかげさまで様々な反響をいただきました。留学希望者に役立つという評価や日米の受験制度・教育制度の違いが分かるという評価に加えて、意外に好評をいただいているのが「おわりに」の部分で書いたメッセージです。 ここでは、留学後の姿勢として「まず英語漬けになること」そして「異文化への『のめり込み期』と『幻滅期』を経験した後の、当の異文化理解」を目指すことを訴えました。知らない土地に留学する際に、こうした心構えは最も重要だと考えたからです。 こうしたメッセージを発信する中で、改めて「日英語教育」に関する意見を求めたいという声もいただきました。英語教育に関しては、この欄で2010年に4回にわたって「公用語時代、日人の英語はどうあるべきか?」というタイトルで、様々な角度から提言をしたことがあります。ですが、よく考えると、議論

    英語を学べば学ぶほど「自分が小さく見える」?
  • リトルリーグに現れた「少女エース」の快投

    昨年もこのブログでお話した、アメリカ東海岸の夏の風物詩、13歳までの子どもたちによるリトルリーグ世界大会は今年も大詰めを迎えています。ペンシルベニア州ウィリアムズポートの専用球場では、世界各国から来た少年少女たちとアメリカの各地方の代表が2週間以上、一緒に合宿生活をしながらトーナメントを戦っているのです。 稿の時点では、トーナメント参加16チームのうち6チームは2敗して脱落。現在勝ち残っているのは10チームです。最終的には来週の日曜日、24日にアメリカの優勝チームとアメリカ以外のインターナショナルトーナメントの優勝チームが、「世界選手権の決勝戦」を戦うことになっています。 ちなみに、日本代表は2012年に優勝している北砂リトルが参加しており、現在のところ順調に2つ勝っています。昨年、2013年は武蔵府中が優勝していますから、日としては世界選手権3連覇がかかっているわけです。 ところが、

    リトルリーグに現れた「少女エース」の快投
  • http://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2014/08/132074.php

    http://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2014/08/132074.php
  • 反ワクチン運動の危険な展開

    予防接種を拒否する反ワクチン運動が、たちの悪い展開をみせている。信じられないことだが、クリス・ムーニーが米評論誌マザー・ジョーンズに書いた記事によれば、分別のない親たちが子供への予防接種だけでなくビタミンKの接種まで拒否し始めているという。ビタミンKの投与は、新生児に対する標準的なケアとして60年代から行われてきたものだ。 そのため、乳児ビタミンK欠乏性出血症にかかった赤ちゃんを連れて、救急外来にかかる親たちが出てきているという。「珍しい疾患だが、血液凝固作用のあるビタミンKが赤ちゃんの体内に十分にないため起こる」と、ムーニーは書く。「乳児ビタミンK欠乏性出血症にかかると体のさまざまな部分で出血しやすくなり、頭蓋内出血が起こることもある」。頭蓋内出血は脳損傷を引き起こす可能性があり、場合によっては死に至る。 この問題が注目されたのは今年5月、トム・ウィレモンがテネシアン紙に書いた記事がきっ

  • 日本の大学は学位を売る「ディプロマ・ミル」になるのか

    理研の小保方晴子氏の博士論文をめぐって、早稲田大学の調査委員会は博士号の取り消しには該当しないという調査報告書を発表した。これについて多くの大学関係者が批判しているが、これは早大だけの問題ではない。 調査委員会は、最大の疑惑だったNIH(米国立衛生研究所)のウェブサイトの文書をコピーした事実について「著作権侵害行為であり、かつ創作者誤認惹起行為といえる」と認定し、「仮に博士論文の審査体制等に重大な欠陥、不備がなければ、件博士論文が博士論文として合格し、小保方氏に対して博士学位が授与されることは到底考えられなかった」と断定した。 にもかかわらず、この論文は「誤って公聴会時前の段階の博士論文草稿を製し、大学へ提出した」ものだという小保方氏の言い訳を認め、「行為者の過失によって不正行為が生じた場合には、学位を取り消すことができない」という理由で、学位規則に定める「不正の方法」には該当しないと