七三一部隊創設者の石井四郎を筆頭に,大学が送り出したエリート研究者たちは細菌戦と毒ガス戦のために中国・ハルピンで人体実験を行った。彼らはなぜ易々と倫理を踏み越えたか? 戦後も医学界が一様に口を閉ざす中,本書は大学所蔵資料や米軍の記録から,巻き込まれただけではない組織の姿を浮き彫りにする。歴史と倫理に向き合う意味を問う。 編者: 吉中丈志(よしなか たけし) 公益社団法人京都保健会理事長,京都大学医学部臨床教授。京都大学医学部卒。主な著作に,『いのちの証言・二硫化炭素中毒――ラマツィーニ,現代によみがえれ』(かもが わ出版,2016年),『ガイドライン外来診療2007――今日の診療のために』(共著,日経メディカル開発,2007年)などがある。 第Ⅰ部 楊彦君(Yan-Jun Yang) 侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館教授。「戦争と医学医療研究会」会員。侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館副館長,ハ