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ブックマーク / www.meijigakuin.ac.jp/~inaba (4)

  • 稲葉振一郎(1993) - 書評:大沢真理『企業中心社会を越えて』

    フェミニスト社会科学の到来 書評:大沢真理『企業中心社会を越えて』(時事通信社) 『季刊窓』18号(1993年冬) 稲葉振一郎 まず第一に、書は日で初めての、格的なフェミニスト社会科学の著作である。ではこれまでのフェミニストによる達成は何であったのか、と読者は問われるであろう。もちろん専門的なレベルでいくつかの貴重な業績は蓄積されてきたが、フェミニスト論客の多くは理論的、ないしは批評的論争の領野に過剰に勢力を注ぎ、実証的研究を怠ってきた、といわざるをえない。そうした状況の中で、これほど地道な実証性と、明解な論争性とを合わせ持った仕事が、一般読者に利用可能な形で市場に供されたことの意義はどれほど強調しても足りない。 しかし書は、単にこれまで日フェミニズム論壇に欠けていた実証科学をそこに付け加えた、というだけのものではない。書の達成は、これまでの日フェミニスト社会理論に対する

  • ナウシカあるいは旅するユートピア

    ナウシカあるいは旅するユートピア ――ロバート・ノージック、笠井潔、そして宮崎駿―― 稲葉振一郎 『季刊窓』22号(1994年12月) はじめに このほど完結したマンガ『風の谷のナウシカ』(徳間書店、以下マンガ『ナウシカ』と略記)を通読してみれば、この10余年を通しての宮崎駿という一人の表現者の凄まじい思想的苦闘をそこにみて取ることができる。 雑誌『アニメージュ』(徳間書店)でのマンガ『ナウシカ』連載開始が1982年であるから、完結までに要した時間は単純計算で12年間ということになる。しかもこのマンガ『ナウシカ』のアニメーション化であり、「宮崎駿」という名前を世間一般で通用するブランドとすることともなった劇場用アニメーション『風の谷のナウシカ』(徳間書店=博報堂、以下アニメ『ナウシカ』と略記)の興行が1984年であったから、来マンガ家ではなくアニメーター、単独の芸術家的職人ではなくチーム

  • 労使関係史から労使関係論へ

    労使関係史から労使関係論へ 論評: 東條由紀彦『製糸同盟の女工登録制度-日近代と女工の「人格」-』(東京大学出版会、1990年) 佐口和郎『日における産業民主主義の前提-労使懇談制度から産業報国会へ』(東京大学出版会、1991年) 稲葉 振一郎 『経済評論』 第41巻第10号(1992年10月) はじめに 稿の主題は、近年立て続けに出版された、新世代の労働問題研究者による日労使関係史の格的研究書二冊の検討を通じて、現時点における日労使関係史研究の到達点から、一体何が見えてくるのか、を確認しておくことにある。近年の日の労働問題研究にとって、歴史研究はいわば理論研究を代位する役割、すなわち日々変貌しつつある現場を分析する際に、方向感覚を失わないための羅針盤を提供する役割を担ってきた。稿で論評される二つの業績は、このことを意識しつつも、再び理論構築への思考を明示的に打ち出したとい

  • インタラクティヴ読書ノート 2003年7月 - 崎山政毅『サバルタンと歴史』他

    2003年7月 7月11日 amazonでスペルベル&ウィルソン『関連性理論』(研究社出版)[bk1、amazon] の関連書として紹介されていた石崎雅人・伝康晴『言語と計算 3 談話と対話』(東京大学 出版会)[bk1、amazon] を図書館から借りて読み、驚倒。主たるテーマは語用論への計算論的接近だが、ブラットマン『意図と行為 合理性、 計画、実践的推論』(産業図書)[bk1、amazon] の行為の意図理論、更にその後のFaces of Intention: Selected Essays on Intention and Agency, Cambridge U. P.[amazon] 収録の論文における共同行為・共有意図理論までもがきっちりフォーマライズされて取り込まれている。あわてて「人工知能」「マルチエージェント」関連の文 献をいくつか借り込んでくる。 しかし前々から思ってた

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