190センチ以上もある長身に長い髪、清潔感あふれる白いシャツにダーク・スーツや黒いジャケットを身に着け、常にエレガントな雰囲気を漂わせていたニック・ドレイク。 憂いのある魅力的な声だけでなく、彼の奏でるギターにも定評があった。独自のチューニングで五本の指から複雑に、そして繊細に、しかし力強く奏でられるギターについては、学生時代の友人を始め、レコーディングを共にしたミュージシャンの誰もが、その技術の高さと正確さを絶賛している。 そんな彼の様子が変わり始めたのは、1970年に2ndアルバム『ブライター・レイター』を発表してからだ。 1stアルバムの商業的失敗を払拭しようとニックが強い思いを持って臨んだこのアルバムを、プロデューサーのジョー・ボイドやアイランド・レコードは高く評価していた。しかしそれとは対照的に、ニックは全体のアレンジが少し華やか過ぎたとして、あまり満足していなかったという。 前