第152回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞に小野正嗣(まさつぐ)さん(44)の「九年前(きゅうねんまえ)の祈り」(群像9月号)、直木賞に西加奈子さん(37)の「サラバ!」(小学館)が選ばれた。副賞は各100万円。贈呈式は2月中旬、東京都内で開かれる。 芥川賞に決まった小野さんは1970年、大分県生まれ。東京大学大学院を経て、パリ第8大学で文学博士。2001年に「水に埋もれる墓」で朝日新人文学賞、02年に「にぎやかな湾に背負われた船」で三島由紀夫賞。芥川賞は4度目の候補だった。現在、立教大学准教授でもある。 受賞作は、カナダ人の男と別れ、幼い息子を連れて故郷に戻った女性が主人公。問題を抱える子どもとの関係に苦しんでいる。「みっちゃん姉(ねえ)」と慕う女性の息子が重い病だと聞き、主人公は9年前のカナダでの珍道中を思い出す。過去の旅