「都構想」に有権者はノーを突きつけた。だが、今回の住民投票で問われていたものを、メディア、識者も含めてどれほど多くの人が正確に理解していただろう。住民投票までの経緯を振り返りながら、この不毛な対立を改めて問い直したい(栗原佳子/新聞うずみ火) ◆野党共闘で反対 住民投票は「大阪市を解体し、五つの特別区に分割する」協定書への賛否が問われた。大阪市は全国20の政令指定都市中トップの財政状況。その大阪市を潰し、権限の小さな特別区に「成り下がる」ことの是非が問われた。決して「大阪都」を良しとするかどうか問うものではなかった。 賛成多数になったとしても「大阪都」にはならず、大阪府のままだ。そもそも協定書には「大阪都」という文言もない。だがメディアの多くも通称の「都構想」を多用したし、橋下氏も市主催の住民説明会や維新のタウンミーティングで「大阪都庁」などの言葉を使った。「なくなるのは大阪市役所」とい