イランで今月1日に行われた国会選は、2022年の大規模デモ後、初の大型選挙という点でも注目された。デモは頭髪を覆うスカーフ「ヘジャブ」の強制的な着用に反発する女性がリードし、ヘジャブは体制による「抑圧の象徴」とみなされて大きなうねりに発展した。首都テヘランで取材すると、体制と女性たちの微妙な距離感が浮かび上がった。(テヘラン 佐藤貴生) イランではイスラムの教義に基づき、女性は頭髪をすべてヘジャブで覆い隠すよう義務付けされている。しかし、テヘランでは後頭部だけを覆う女性が多数いたほか、まったく着用していない女性も見かけた。 中心街で会った心理学者のセタレさん(50)もその1人で、長い黒髪を風になびかせて歩いていた。22年のデモに参加して治安部隊に空気銃で撃たれ、頭と背中を負傷したという。「警察の摘発は怖いけど、これは市民の戦い。ヘジャブはつけない」と話した。 北部のショッピングモールに入る