『息子の部屋』 La stanza del figlio 2001年/35mm/イタリア/カラー/99分 監督:ナンニ・モレッティ 出演:ナンニ・モレッティ、ラウラ・モランテ、ジャスミン・トリンカ レビュー ナンニ・モレッティの『息子の部屋』を見に行った。正直言ってこの映画をどう語ったらいいものか。『親愛なる日記』の自伝的でアナーキーなモレッティのファンとしては、この落ち着き払ったたたずまいを見せる家族メロドラマにとまどいを覚えざるをえない。モレッティにはこんな大人びた映画を撮ってほしくなかった。ただ、作家というものは誰しもこうした転換期を迎えるものだ。それをどう受け止めるかが問題である。 例えば、ヴェンダースにとっての『ベルリン・天使の詩』。批評家から絶賛され、ヴェンダースの映画としてはかなりのヒットも飛ばしたこの映画だが、根っからのヴェンダース・ファンにはこの映画はわりと評判が悪かった