若いころ、米国に同い年のイラン人の親友がいた。運動神経は抜群で腕っぷしが強く、空手でイラン1、2位を争っていた。1979年、イスラム勢力が親米政権を打倒したイラン革命の際、フランスを経て、米国に逃れた。詳しくは聞かなかったが、国王のボディーガードのようなことをしていたようだ。 常に笑顔を絶やさず、まめな男で、簡単な食事を出す際にも、冷凍野菜をチンして付け合わせるのを忘れなかった。私自身は当時、イスラム革命やイラン、その周辺地域にとくに興味はなかったため、この空手家のイメージが、すなわちイランということになった。 気は優しくて力持ちといったところだろうか。 イランの対日感情は悪くない。日本が大国ロシアを破った(日露戦争=1904~05年)のもその一因である。53年には、国際石油市場で孤立していたイランに日本企業がタンカーを送り、世界で初めて石油製品を直接買い付け、イラン経済に手を差し伸べた。