相場英雄の時事日想: 暮れも押し詰まった昨年の大晦日。私は新聞の一面見出しを読んだ瞬間、腰を抜かさんばかりに驚いた。先の総選挙で大勝した与党自民党が経済政策の柱として取り組むという製造業への支援策がスッパ抜かれていたからだ。スクープ記事を放つのは、記者の仕事。中身が優れたものであれば、「腰を抜かさんばかり」などという表現は決して使わない。そう、私は開いた口がふさがらないほど新政権の経済政策にあきれたのだ。 ●モルヒネのあとは劇薬 “公的資金で製造業支援=工場・設備買い取り、官民5年で1兆円超” 昨年12月31日付の日本経済新聞朝刊一面に、このような見出しが躍った。先に触れた通り、私はこの記事に仰天した。 記事の中身をかいつまんで説明する。 ここ数年で韓国や台湾、あるいは中国の新興メーカーとの競争に敗れ去った日本の電機メーカーを救済するため、政府がリース会社と組み、メーカーの工場や