必ず会いに行くから、どうか待っていて たとえ、君が覚えていなくても。たとえ、僕がすべてを忘れてしまっても。それでもまた、君に会いに行こう。きっと、きっと……
JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (「小説家になろう」さんにも重複投稿しています。小説家になろう版はルビ多めです。) あの子は、自分の正しさを疑わない。 いつでも、正しいのは自分で、間違っているのは周りにいる誰かや何か――それがあの子の、この世界に対する認識だ。 いい加減つき合いも長いから、私もそれは知っていた。 知っていて……そんなあの子を密かに呆れた目で見ながらも、その歪んだ物の見方を、正すでもなく拒否するでもなく、ただ流して(・・・)きた。 言ったところで直るような性格でもないし、それで害が生じているわけでもない。 だったら、わざわざ友情の壊れるリスクを負ってまで指摘する必要はない――そう思っていた。 あの子は、相手を気遣ったり、相手に合わせたりすることがない。 ありのまま、素の自分を晒すことが友情の“あるべき姿”とでも言うように、いつでも自分の我を通す。 そして、周りが
※このページは津籠 睦月によるオリジナル和風ファンタジー・ネット小説「花咲く夜に君の名を呼ぶ」のもくじページです。 時代は古代(古墳時代~奈良時代)、モチーフは日本神話(各国風土記・古事記・神道etc…)、 構成要素はアクション・バトル・シリアス・恋愛(切ない系)・大河・サプライズです。 少しでも興味を持っていただけたなら、上の目次の文字の色が違う部分をクリックして本文ページへ進んでみてください。 バージョン切替機能 この小説には、「普通描写版」と「倭風描写版」の2つのバージョンがあります。 本文ページメニューバー(小説タイトルロゴの下のピンク色の帯)の右下に切替ボタンがありますので、お好きな方を選択してお読みください。 用語解説フレーム 本文の中にある色の違う単語をクリックすると、本文ページ左側の用語解説フレーム内に説明が表示されます。 <もくじを表示する>をクリックしてもくじを表示させ
JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (「小説家になろう」さんにも重複投稿しています。小説家になろう版はルビ多めです。) 世の人々の多くは、なぜか“一握りの天才”というものに、憧れや嫉妬を覚えるものらしい。 だけど、よく考えてみて欲しい。 全体から見て、ほんの数パーセントしか存在しない天才(ギフテッド)――それはすなわち“とてつもない少数派(マイノリティ)”ということに他ならないのだ。 大概のことが多数決の原理で動いていく現代社会において、それは圧倒的に不利な立場でしかない。 それなのに、なぜ人は、そんなモノに憧れたり妬いたりするのだろう……。 他人と違うというだけで、この世は何かと生きづらい。 口では個性を認めながら、実際には出る杭は打たれるのが世の習いだ。 考えてみれば当たり前の話なのだ。 大多数の人間は、「他人が自分より優れていること」を素直に喜んだりしない。 何をしたわ
外は雨だった。けぶるように降る春雨(はるさめ)は、山々を白く霞(かす)ませ、森の色を一層深く濃く見せていた。 「せっかくの月待(つきまち)の日に、あいにくのお天気ですねぇ」 茶店の主人(あるじ)が苦笑混じりに話しかけてくる。 「月待?……あぁ、今流行(はや)りのアレか」 俺は適当に答え、茶をすする。月待とは月待講(つきまちこう)のことで、いつの頃からか流行りだした月神信仰の一種だ。夜半(やはん)に出る二十三夜の月を待ち、月神に供(そな)え物をして夜通しの宴を行えば、願い事が叶うという。 「おや、お客さんは願い事をなさらないんですか?」 「あいにく、神に叶えられるような願い事など、持っておらぬからな。この辺りではそんなに月待がさかんなのか?」 「へぇ、そりゃもうさかんですねぇ。特に、こんな風に龍神様の涙雨(なみだあめ)の降る頃には。龍神様のご加護もあって願いが叶いやすいとか何とかで」 「龍神
マンガや小説やドラマの中なら、主人公が困難に陥(おちい)った時には、必ず“救いの手”が差し伸(の)べられる。 助けてくれる人だったり、苦境(くきょう)を突破するきっかけだったり……。 そういうものなのだと、幼い頃(ころ)は思っていた。 だけど、私が死にたいくらいに辛(つら)かったあの時、救いの手なんかどこにも無かった。 誰も助けてくれなかったし、解決の糸口さえ見当たらなかった。 ただ、耐(た)えて、耐えて、耐え続けて……時間が状況を変えてくれるのを待つことしかできなかった。 救いの手なんて結局、物語を上手く転がすための都合の良い道具に過ぎないんだ。実際には存在しないものなんだ――そう、自分に言い聞かせて、これまでにも数えきれないほど呑(の)み込んできた“悲しい現実”を、またひとつ無理矢理、喉(のど)の奥に押し込んだ。 時間の流れは、時にじれったく思うほど、じりじりと遅く感じられたけど、それ
結局、青春なんて、どこにあったんだろう。 三年間、これでも必死に努力してきたつもりだったのに、記録を出すどころか、地区大会の代表にも選ばれなかった。 学園ドラマやスポーツ漫画にあるような熱くてキラキラした青春は、俺の隣(となり)にいた、俺よりずっと才能も実力もあるチームメイトのもので、俺はまるで背景の名も無き観衆のように、そいつらの活躍を応援するだけだった。 一体、何のために毎日汗だくになりながら、辛(つら)い練習をこなしてきたんだろう。 いつかは見つけられるかも知れないと思っていた、競技に打ち込む意味も意義も、結局うすらぼんやりして見えないまま、今日でその辛い練習も終わる。 今まで何度も「苦しい」「辞めたい」と思ってきたはずなのに、いざ「今日で最後」となると湧(わ)き上がってくる、この感情は何だろう。 悔しさだとか未練だとか、そんなありきたりな言葉じゃ説明がつかない。 両手にすくった銀の
JUGEMテーマ:自作小説 マンガやアニメだとよくある、生徒が出入り自由な屋上って、現実の学校でどのくらいあるんだろう? 実際、ウチの学校はカギがかかってて出られないし。 ――だからこそ、屋上へ通じるこの階段は、普段誰にも使われなくて、ちょうどここの掃除担当だった君の、秘密の踊り場だったわけだけど。 最初にそれを見た時は、正直面食らったよ。 文字通り踊り場で踊っている人間がいるなんて。 だけど君のその踊りは、どんなプリマのバレエより、どんなメダリストのフィギュアスケートより、ずっとずっと美しく見えて‥‥そのことにも驚いたんだ。 それが完全独学の、見よう見真似の踊りだと知った時には、さらにその数倍驚いたけど……。 僕に見られていると気づいた時の、君の慌てふためき(テンパリ)ようは、すごかったね。 思わず笑いをこらえるのに必死になってしまったけど……今思えば、あの時僕は、ただ単純に可笑しがって
JUGEMテーマ:短編小説 二月の冷たい風に、僕の処刑を見るために集まった冷たい群衆の視線。 最期に見るのがこんな光景だとは、僕もよくよく救われない。 せめて、もう一度、君に会ってから死にたかった。君の顔を見て、君の声を聴いて、君と悲しみを分かち合ってから死にたかった。 だけど、本当は分かっている。君と僕とが同じ気持ちを分かち合うことはできないと。 夫婦として契りを交わしても、心まで分かり合えるわけじゃない。君と僕が互いを分かり合うには、時間があまりに短過ぎた。 式を挙げて一年足らず。実質的に夫婦として共に過ごせたのは、わずか2ヶ月……。 それでも僕は君を愛していたけれど、この想いは、ちゃんと君に伝わっていただろうか。 分かっていて欲しい。だけど、分かってもらえていなくても……君が僕を愛してくれていなくても、仕方がないことなのかも知れない。 僕は君を、この呪われた家系に引きずり込んだ。この
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く