――あなたには、ありのままのあなたを受け入れてくれる街はありますか? そしてその街は、どんな街ですか? 目が涙で腫れて、腫れぼったい恥ずかしい顔をしている斎藤 要(さいとう かなめ)の顔が、鏡越しに反射した。 「こんな不細工な顔をしていたんだ」顔を真っ赤にしながら、涙で過呼吸気味な僕は、この人生をもがき生きるために大量の水を口に含んだ。 生きているという証が感じられた。 生きているということは、惨めな姿を受け入れ、そして受け入れてくれる人を大切にすることだ。 急行電車が通り過ぎた。手で一生懸命、真っ赤な頬を隠しながらアパートに帰る。 「ここはもう、自分がいて良い場所じゃない」 そう要は呟くと、家具や自分の所有物をまとめ始めた。 「また次の街へ引っ越そう」 次の街は、人情味溢れるノスタルジックな街だった。 要が引っ越した新しい街は、昔ながらの商店街が賑わう街だった。 たまにテレビ取材も来るよ