東志津『「中国残留婦人」を知っていますか』を読む。 ジュニア新書と思って侮るなかれ。 良書である。 ほかにも読まれるべき個所をいくつも含んでいるのだが、ここでは、数か所のみ引用とコメントをする。 (要するに実際に本を手に取ってくれということだ。) 「開拓移民が渡った先で与えられた土地の多くは、もともとは中国人のものでした。彼らが苦労して開墾した農地に日本人が入植したのです。土地や家屋を奪われた中国人は、その後、小作や苦力(日雇い労働者)として日本人のもとで働くことになりました」 (6頁) これは著者による解説である。 ここでいう中国人とは、満州人を含む中国人を指している。 まず基本的なことだが、満州国とは、このような土地の収奪によって成立している。 結婚を前提に募集をおこなえば、応募者が見込めないと考えた為政者たちは、本当の目的を伏せて人を集めていました。そうした事業に応じて満州に送られた